「私はこの腕の上じゃなきゃ寝れないの!」
以前、僕にそう言い放った女性がいた。
とっくに別れてしまったが、最高の枕であろう僕の右腕を棄てた彼女は今も眠れない夜を過ごしているのではないだろうか。
――付き合いたての男女と言うのは、俯瞰(ふかん)すると実に滑稽なもので、相手の気持ちを確かめたり、自分の気持ちを示したりするのに、過剰に演技掛かった台詞を発したりすることがある。
後々、考えると恥ずかしくて頭を掻き毟りたくなるようなことばかりだが、懲りずに毎回繰り返してしまうのは、その瞬間にこそ恋愛の甘美が存在しているからではないだろうか。
しかし、恋愛の甘美を味わえる時間はとても短く、すぐに塩気や酸味を増し、ときめきは露と消えてしまう。
ーーこれはコーヒーも例外ではない。
美味しいコーヒーの条件を挙げるとすれば
“淹れたてのコーヒー”
ではないだろうか。
さらに美味しいコーヒーを追求すると
“挽きたてのコーヒー”
になり、最終的には
“煎りたてのコーヒー”
に辿り着く。しかし、焙煎技術というのは奥が深く、一朝一夕でできるものではない。
生兵法でコーヒー豆の焙煎を行うことは、付き合いたての女性に「10年後も100年後もずーっと愛してる」と宣誓してしまうくらいの危険性を秘めているのである。(ちなみに「生兵法」は、未熟な知識。という意味。ちょっと使ってみたかった。)
つまり、本当に美味しいコーヒーを飲むのであれば自家焙煎を行っているカフェに行くしかない……はずだった。
「自宅で焙煎したてのコーヒーを飲めたら……」
そんなコーヒー好きの要望に応えたのは、このサービス。
珈琲特急便は焙煎したコーヒー豆を送料無料で翌日発送、自宅に送り届けてくれるのだ。
コーヒー豆の選別や焙煎は、熟練の焙煎士が行っていることもセールスポイントの1つなのだという。
珈琲特急便のコーヒー豆が自宅に届いて最初に感じたことは、焙煎したてのコーヒー豆の香りの良さである。
その、ふくよかで香ばしい香りはパッケージの外からも微かに匂い立っており、開封したいような……惜しいような……そんな気分に陥ってしまう。
それは、まるで両思いと分かっていながらも告白に躊躇してしまうときの心境に似ている。
そして、いつかは相手に思いを告げるように、コーヒー豆の入ったパッケージを開封する。さらに強いコーヒーの香りが辺りを包んだ。市販で売られているコーヒーの挽粉やインスタントコーヒーにはない力強いコーヒーの香りだ。
そして、豆を適量計量し、ミルにセットする……と、文字にすると手際よくやっているように聞こえるかもしれないが、僕はミルを使うのが初めてのことだった。当然、「あわわ...あわわ...」と慌てながらミルに豆をセットしていたのは言うまでもない。
続いて、ミルの蓋を閉めて恐る恐るハンドルを回す。しかし、やってみると意外と簡単で、ものの3、4分でコーヒー豆を挽くことができた。
もう気分はバリスタである。「ダバダ~、ダーバ、ダバダ~♪」などと『めざめ』を口ずさみながらペーパードリップを行い、記念すべき最初の一杯が出来上がった。
――気のせいじゃない。飲む前の予感。これは絶対に美味しい。
目が合った瞬間に好きになるのが一目惚れなら、コーヒーは一鼻惚れとでも言おうか、カップから立ち上る香りが一瞬で僕の心を奪ってしまった。
そして、普段なら砂糖をドバドバ入れてしまうところだが、スッピンの恋人を見てみたいという気持ちと同じように、今回はノンシュガー・ノンミルクで一口飲んでみる。大抵、スッピンの恋人なんてものは目も当てられない場合がほとんどだが、このコーヒーは違った。
素のままでも嫌な苦味もなく、深いコクを感じながら2口目、3口目……と自然に飲むことができたのだ。
豆の品質や鮮度、そして“焙煎したて”これらが完璧に合わさると、これまで飲んできたコーヒーが別物ようにすら思えてしまう。コーヒーの奥深さに少しだけ触れた一杯だった。
綺麗にまとめるつもりだったが、焙煎したてのコーヒーの味を言葉で全て表現するのは筆力が足りないせいかとても難しい。本意ではないが昔、僕の右腕を枕にしていた女性の言葉を借りよう。
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