美味しさには、正解がない。100人が美味しいと言っていても、自分は美味しいと思えないかもしれない。だから、自分が美味しいと感じるものを選びたい。知らなかった「美味しい」に出会いたい。できれば、簡単に。
そんな願いを叶えられるコーヒーショップが、渋谷にある「cottea」です。16種類の味わいから自分好みのコーヒーを探せます。コーヒー豆について詳しいわけではないけれど、美味しいコーヒーを飲みたい。そんな方にぴったりのお店です。
渋谷の実店舗のほか、オンラインショップでも購入可能。今回は、cotteaを運営しているホ・ソンウォンさんとイ・ジュンハンさんのおふたりにお話をうかがいました。
目次
4つの軸・16種類の味わいから「自分の好き」を選ぶ
cotteaのホームページに記されている「あなたにとって最高の一杯」という言葉。これは、cotteaの「美味しさには絶対的な正解、100点満点はない」という考えの表れです。
多くのコーヒーショップが豆の品種名をメニューに掲げているなか、cotteaでは「A1」「B2」といったアルファベットと数字の組み合わせでコーヒー豆を販売しています。
マップの軸は、苦味・酸味・甘味・ボディの4つ。計16種類のコーヒー豆から自分の好みに応じた味を選ぶ仕組みです。値段は一律で、100グラム810円。豆・ドリップバック・粉の3種類から選べます。
店頭では、スタッフがお客さんの好みをヒアリングし、マッチすると思われるコーヒーを提供します。
一方、直接ヒアリングできないオンラインショップでは、チャートの質問に答えていくと、好みに合うと思われるコーヒー豆がわかる仕組みを導入しています。
初回のみ、3種類のコーヒー豆を無料で試すことができます。チャートの質問内容は、実店舗での接客経験を活かして内容を調整することもあるのだそうです。
試飲システムを採用している理由を、ホさんは「買ったものが舌に合わなかったことよりも、飲みきれないままになってしまうことによる罪悪感を残したくなかった」と語ります。
「飲めないコーヒー豆が残っていると、次のものを買うハードルが高くなります。合わなかった経験が繰り返されてしまうと、買うことへのためらいが生まれてしまう。お客さんにネガティブな買いもの体験をさせたくないと思ったんです」(ホさん)
また、店で淹れたコーヒーと同じ味を自宅でも味わえるよう、cotteaでは誰でも簡単に安定した味を引き出せる「クレバーコーヒードリッパー」を導入しています。
淹れ方により味が変動するハンドドリップとは異なり、クレバーコーヒードリッパーは常に一定の味で淹れられるのだそう。
「そのときの好みに応じて淹れ分けられるのがハンドドリップのよさです。ただ、cotteaでは手軽にいつでも美味しいコーヒーを飲みたいと考えている方がターゲットなので、クレバーコーヒードリッパーをおすすめしています。好みに応じて使い分けてもいいですよ」(イさん)
韓国で出会い、日本で再会。人生は「すべてタイミング」
ホさんとイさんは、韓国生まれ韓国育ち。日本に住み始めたのは、それぞれ大人になってからのことです。ふたりの出会いは、兵役時代の軍。同い年のふたりですが、半年ほどホさんが先輩の関係です。従軍時代は特別親しいわけではなく、仲間のひとりだったのだとか。
再会したのは日本でした。日本の大学に通い、日本で働いていたホさん。そこに、イさんが来日し、連絡を取り合ったのがきっかけです。
「ちょうど、ふたりとも会社を立ち上げたいと考えていたため、一緒にやろうという話になりました。そこで、何ならやれるだろうと考えたんです。僕もイさんもコーヒーが好き。それがcottea立ち上げのきっかけでした」(ホさん)
タイミングと縁が重なったのがたまたま日本だったのだそう。「韓国より日本のほうがコーヒー市場が大きいという理由もありますが、日本での起業に必然性があったわけではないですね」とホさんは言います。
ホさんもイさんも起業ははじめて。加えて異国の地での起業は難しかったのでは? その問いかけに、「日本だから大変というよりも、起業自体の難しさはありましたね」とホさん。「でも、1番難しくて大変だったのは、商品を売ることでしたよ」と教えてくれました。
ちなみに、母国・韓国では「アメリカーノ」と呼ばれるコーヒーが主流なのだとか。特に季節関係なくアイスアメリカーノが人気を集めているのだそうです。カフェが増え始めたのはこの4~5年ほどではないか、と話してくれました。
来日して3年目になるイさんは、「ただ、元からコーヒー屋をやろうと思っていたわけではないので、実はあまり韓国のコーヒー事情には詳しくないんですけどね(笑)」と言葉を添えました。
オンラインでもオフラインのような買いもの体験を
青山大学がほど近い渋谷エリアにあるcottea。この場所に店を構えた理由は、「ビジネスや買いものなど、何かのついでに通ることのある場所だから」。来客層は男女・年齢とも特に大きな偏りはないのだそうです。
ただ、今力を入れているのはオフラインよりもオンライン。もともと想定していたのは、一度来店して試飲したあと、オンラインショップで継続購入するスタイルでした。しかし、実店舗での試飲体験に近い体験をオンラインでもできるようにしたところ、特に地方在住者からの購入が増えたのだそう。
「都市部にはコーヒー店がたくさんあるので、cotteaを利用しなくても購入場所に困らないんです。でも、地方になると近場にコーヒー店がないエリアが増えます。かといって、地方の人がコーヒーを飲まないわけではないですよね。そうした方に利用していただいているのでしょう」(ホさん)
初回の試飲券、そして渋谷に実店舗があるという安心感。これらが地方在住者の利用率につながっているのでしょう。
オンラインに力を入れつつも、実店舗での創意工夫も忘れません。cotteaの近くには青山大学があり、目の前の道は学生が多く行き交います。そこで、学生にも喜んでもらえるメニューとして、今回新しくコーヒーゼリーの販売を開始したのだそう。
カップに入っているゼリーを、ストローでクラッシュしながらいただきます。ラテのようなクリーミーさが美味しい。混ぜながら飲む楽しさも味わえます。オシャレな見た目は、学生にも好まれることでしょう。
初夏から夏にかけて、飲むコーヒーゼリーを片手に歩きたい。見た目も味も惹かれる一杯です。
同じ味を手軽にリピートできる仕組みを整える
飲みたい味は、人によって異なります。また、同じ人であっても、気分や時間帯、合わせる料理やスイーツによっても変わるものです。
cotteaのお客さんには、夫婦で異なるコーヒー豆を選び購入している方もいるのだそう。一度選んだコーヒー豆は、簡単に継続購入ができます。
飲みたいときに以前頼んだものをリピートできる仕組みを採用。その理由は、「僕自身もですが、コーヒー好きは違うお店のコーヒー豆も選んでみたくなるもの。そのときに定期購入が足かせになってしまうからです」とのこと。
「cotteaがひとり勝ちしたいのではなく、コーヒー業界全体が盛り上がってくれることが大切だと考えています。コーヒーライフを楽しむなかで、cotteaのコーヒー豆がひとつの選択肢になってくれたらうれしいです」(ホさん)
16種類のコーヒー豆を用意し続けるのは大変なこと。焙煎を担っているイさんは、「ホさんが簡単に『用意できますよ』と言ってしまうので大変です」と笑います。
「実は、開店当初は24種類だったんだよね。しかも全部ブレンドで。さすがに無理だ、ということで今の16種類に落ち着きました」とホさん。24種類用意した理由は、「何となく、これくらいあればいいかと思って」だったのだそう。
現在は、「C2」を除きすべてシングルオリジンです。コーヒー豆は、その年の出来具合やメーカーの取り扱いにより、常に同じ品種を仕入れられるわけではありません。使っている豆が仕入れられなくなった場合は、「A1」ならば「A1」の味わいに該当する豆を新たに探します。小さくリニューアルを繰り返しながら、常に16種類の味を用意しているのです。
手軽に、だけど味にこだわりたい。そんなコーヒー好きにおすすめ
どんなコーヒーが好きですか?と問われたときに言葉に詰まってしまう人。コーヒー豆を選ぶ際、迷ってしまった経験がある人。なんでもいいわけではないけれど、かといってマニアになるほど詳しいわけではない。そうした人に、cotteaのコーヒー豆はおすすめです。
cotteaを運営する社名は「株式会社余裕」。コーヒー一杯を味わえる余裕を大切にしたいという思いが込められた社名です。cotteaでは、忙しいなかでも自分に合う美味しいコーヒーを選べます。クレバーコーヒードリッパーを使えば、さらに手軽にコーヒータイムが楽しめるでしょう。
ホさんとイさん、ふたりが出会い再会して生まれたcotteaは、「私の美味しい」に出会えるコーヒーショップです。
【Cottea】
住所:〒150−0002 東京都渋谷区渋谷二丁目3−3 仙海ビル1階
電話:03-6450-6674
開店時間:10:00~ 18:00
休業日:日曜