持ち運びに便利なペットボトルや、飲みきりやすい紙パックなど、手軽で子どもたちにとって身近なジュース。しかし、親として気になるのが飲みすぎや身体への影響ですよね。
砂糖がたっぷり入っている甘いジュースは飲ませすぎに注意しているものの、果汁100%や野菜のジュースは身体にいいから、とあまり制限していない家庭も多いのではないでしょうか? じつはその飲ませ方、子どもの成長を妨げてしまうかもしれません。
今回は意外と知らない身近なジュースの特徴や子どもへの飲ませ方のポイント、注意点などについて詳しく解説しましょう。
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目次
身近なジュースの特徴と子どもへの上手な飲ませ方
身体によさそうなフルーツや野菜でできたドリンクから、刺激の強い炭酸飲料まで、ジュースの種類はさまざまです。ここでは小さな子どもたちが飲む機会の多いジュースについて、それぞれの特徴や上手な飲ませ方をお伝えします。
習慣化に注意!【果汁100%ジュース】
子どもたちが大好きな甘いりんごやみかんなどの果汁100%ジュース。ヘルシーなイメージもあり、他のジュースを選ぶよりはいいかな? と選んでしまうことも多いですよね。
しかし、果汁100%ジュースは果物そのものではありません。加工の過程で食物繊維など大切な栄養素が失われたり、ビタミンやミネラルが減少していたり、あくまで果物とは別物と考えた方がよさそうです。
また、与える側も「果汁100%なら」気軽に飲ませやすく、ジュースを飲む習慣化のきっかけになりやすい点も注意しましょう。
アメリカ小児学会によると、果汁100%ジュースを飲む量は一日あたり1〜6才は110〜170ml、7〜18才は220〜340mlが目安です。果物と同一視せず、適切な量を飲ませてあげましょう。
野菜の代わりになる?【野菜ジュース】
野菜が苦手な子どもは多く、代わりに野菜ジュースで栄養を摂取させたいと考えるママやパパは少なくないでしょう。野菜が苦手な子どもでも、甘みのある野菜ジュースなら喜んで飲んでくれることもありますよね。
しかし、果汁100%ジュースと同じようにあくまで野菜ジュースも野菜を絞った汁であり、野菜そのものではありません。やはり、加工の過程で栄養素が失われたり、減少したりしてしまいます。また砂糖が加えられていることも。
そのため、残念ながら野菜ジュースで野菜不足を解消するのは難しいといえるでしょう。とはいえ、「ジュースが飲めたから、次はお野菜食べてみようか?」など、チャレンジするきっかけとして野菜ジュースを活用するのはよいかもしれませんね。
砂糖がたっぷり!【乳酸菌飲料】
乳酸菌飲料は腸内環境の改善など健康によい効果があるといわれているため、毎日のように飲ませている家庭も多いのではないでしょうか。
しかし、予想外に多いのが含まれる糖分の量。わずか65mlの乳酸菌飲料にはスティックシュガー2.5本分、約7.5gの糖分が含まれています。子どもが一日に摂取できる砂糖の目安量は3〜5才で10g、6〜8才で10〜15gほどなんだとか。小さな1本の乳酸菌飲料で、一日分近くを摂取してしまうなんて驚きですよね。
健康効果を求めるなら、他の食材を摂取する方がよいかもしれません。毎日の習慣として飲ませるよりも、嗜好品としてたまのお楽しみにするのがおすすめです。
お茶代わりに飲ませてない?【スポーツドリンク】
健康的なイメージがあるスポーツドリンクは、汗をかく外遊びやお出かけの必需品となっている場合も少なくないでしょう。
スポーツドリンクは疲労回復や熱中症予防に役立ちますが、気になるのが乳酸菌飲料と同じく砂糖の量です。500mlのペットボトルにスティックシュガー11本分、約33gもの砂糖が含まれています。暑い日や汗をかいた後は、お茶感覚で一気に飲んでしまうことも多く、砂糖の摂りすぎになりかねないため、注意が必要です。
最近は「ペットボトル症候群」と呼ばれる、スポーツドリンクなどのジュースを飲みすぎることで、急性の糖尿病のような症状があらわれるケースも増えているんだとか。
粉末状になったタイプなら好みに合わせて薄く作ることができ、砂糖の摂取を控えられます。また、市販のスポーツドリンクを水で2〜3倍に薄めてもよいでしょう。
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子どもにジュースを飲ませるときの注意点
つづいて、子どもにジュースを飲ませるときに知っておきたい注意点についてお伝えします。
1.「飲み物」ではなく「おやつ」として扱う
ジュースは水分補給のための飲み物ではなく、おやつと同じ扱いにしましょう。のどが乾いたときに与えるのは、麦茶や水がベストです。
おやつとしてジュースをあげるときにもペットボトルのままではなく、コップに移しかえて量を調節し、飲み過ぎを防ぎたいですね。
2.エナジードリンクやコーヒーなどはNG
エナジードリンクやコーヒーなどカフェインを含む飲み物は、子どもの身体に大きな負担を与えるためNGです。
カナダ保健省では子どもはカフェインへの感受性が高いため、一日あたりのカフェイン摂取量を4〜6才では45mgまで、7〜9才は62.5mgまでとしています。とくにエナジードリンクには100mlあたり32〜300mgと多くのカフェインが含まれており、子どもにはおすすめできません。
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3.赤ちゃんへは生後6ヵ月を過ぎてから
赤ちゃんにジュースを与えるのは、離乳食を始める6ヵ月ごろから。ひと昔前までは生後3〜4ヵ月ごろから果汁を与えるのが一般的でしたが、近年では変化し、離乳食前の赤ちゃんに果汁は必要ないとされています。
いきなり市販のジュースを与えるのではなく、まずは果物を絞った汁を薄めたものから飲ませはじめましょう。与え過ぎやジュースの濃さにも注意が必要です。
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親子で手作りジュースを作るのもおすすめ
ミキサーを使えば、家庭でも簡単に手作りジュースが作れます。果物や野菜を丸ごと入れれば、栄養分も余すことなく摂取できてヘルシー。
おすすめの食材はバナナやキウイ、いちご、桃、りんごなど。野菜を入れる場合は、あまり癖の強くない小松菜やトマト、人参などが飲みやすいでしょう。
作り方は簡単。ミキサーにお好みの果物や野菜とともに牛乳もしくは豆乳を入れ、攪拌するだけ。いろんな組み合わせを試して、お気に入りの味を見つけたいですね。
子どもの成長を妨げない上手なジュースの飲ませ方を知ろう
何気なく子どもに飲ませているジュースですが、飲ませ過ぎや習慣化には注意が必要です。
ジュースには糖分が多く含まれており、小さな子どもの身体には思わぬ負担になってしまうことも少なくありません。また、飲み過ぎでお腹が膨れてしまい、食事量に影響を与えてしまうことも。
ジュースはたまに楽しむもの、特別なときに飲むものと位置付け、親が管理してあげましょう。また、たまには親子で手作りしてみるのもおすすめです。
甘くておいしいジュースだからこそ、上手に付き合い、楽しみたいですね。
参考資料:
アメリカ小児科学会「子どもに果汁を与えるリスクと適切な摂取方法についての勧告」(https://jalc-net.jp/dl/Pediatrics.pdf)
農林水産省「カフェインの過剰摂取について」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html#other%20countries)
長野県坂城町「野菜をとりたい 幼児の量」(http://www.town.sakaki.nagano.jp/www/contents/1001000000474/simple/recipe_kihon_02.pdf)
おおさか食育通信「自分の飲んでいる飲み物からとる糖分の目安」(http://www.osaka-shokuiku.jp/tsuzukeyou/siryou/siryou11.pdf)