「トスカーナの白い肌」の異名を取るリチャード・ジノリ。
ドイツのマイセンやオーストリアのアウガルテンに続き、ヨーロッパで三番目に硬質磁器の生産に成功したイタリアの名窯は、現在も世界中で愛されています。
本記事では、リチャード・ジノリの魅力と代表的なシリーズをご紹介します。
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目次
リチャード・ジノリの歴史と魅力
リチャード・ジノリはイタリアで初めて、白磁を作り出した食器ブランドです。鉱物学に明るいカルロ・ジノリ侯爵が原料土や発色の研究を繰り返し、ついに1735年にフィレンツェ郊外にあるドッチァに開窯したのがはじまりだといわれています。
1896年には、リチャード陶磁器会社に合併され、リチャード・ジノリという名称が採用されました。リチャード・ジノリは時代と共にさまざまなシリーズを生み出してきましたが、用の美にも通じる、バランスの取れたデザインが魅力です。
リチャード・ジノリを代表する5つのシリーズ
装飾的なデザインよりもシンプルなものをお好みなら、リチャード・ジノリをおすすめします。
下記に、代表的なシリーズを5つご紹介いたします。
流麗なレリーフが特徴の「ベッキオホワイト」
「ベッキオ」とはイタリア語で「古い」という意味です。「ベッキオホワイト」はリチャード・ジノリの代表的なシリーズで、その名の通りもっとも古い作品でもあります。
洋にも和にも合う、実用性の高さで選ばれることが多い白い器ですが、ありきたりなデザインではすぐに飽きてしまうことも。長く愛用できるアイテムを選びたいと思っているのなら、ぜひ「ベッキオホワイト」を手元に取ってみてはいかがでしょうか。
ハッと息を飲むような華麗さや繊細さはありませんが、遊び心と親しみやすさを併せ持ったリチャード・ジノリの白磁なら、毎日使っても飽きるということはないでしょう。
気取らないのに、どこか特別な「ベッキオホワイト」は、わたしたちの日常にそっと寄り添ってくれる、そんな器たちです。
エレガントな「コンテッサ」
イタリア語で伯爵夫人という意味を持つ「コンテッサ」は、食卓を上品に彩るにふさわしい器たちです。
色彩の美しさを最大限に引き出すシャープなデザインと金彩の縁取りは、アンティークな雰囲気を醸し出しつつも、モダンさにあふれたシリーズだといえるでしょう。
ターコイズやインディゴ、グリーンなどの寒色系カラーは定番アイテムとして人気ですが、レッドやオレンジなどの暖色系カラーのコーヒーカップもめずらしくて素敵ですね。
可憐な「イタリアンフルーツ」
1760年頃、トスカーナ地方のとある貴族のために特別にデザインされた「イタリアンフルーツ」のシリーズ。透き通るような白地に小花やプラム、ベリーが散らされた器が、なんとも可憐な印象です。絵付けのパターンが何通りかあるため、同じようなアイテムに見えたとしても、少しずつ柄が違っていることも。
じつはディナーセット用の食器としてデザインされたといわれていますが、その明るいデザインから、爽やかで清々しい朝や太陽の日差しがさんさんと降り注ぐ昼のテーブルウェアとしても大活躍するでしょう。
乙女心を刺激する「アンティックローズ」
ローズをあしらったデザインは多く存在しますが、「アンティックローズ」ほど乙女心をくすぐるアイテムは少ないでしょう。
ローズピンクの縁取りと小さなバラが散らされたデザインは、昔も今も変わらずに愛され続けています。一見するとクセが強そうに見えますが、じつは汎用性に富んだデザインで、どんなシーンにもしっくりくる良さがあります。
あまりの可愛らしさにコーヒーカップだけではなく、ケーキ皿やディナー皿など、ほかのアイテムまで揃えてしまいたくなるかもしれませんね。
優雅な印象の「グランデューカ」
ヨーロッパで大流行したシノワズリ(中国趣味)を取り入れた「グランデューカ」は、オーストリア女王マリア・テレジアのために作られました。
「なぜオーストリア女王のために、イタリアの陶器メーカーが器を作るんだろう?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、マリア・テレジアはトスカーナ大公妃でもあり、トスカーナ地方の財政を立て直したために多くの人々に慕われていたといいます。
「グランデューカ」の特徴である大輪の花々は、白磁によく映える淡い色彩で描かれており、華やかで優雅な印象を与えるでしょう。フォルムにはさりげなくロココ様式が反映されていますが、古臭さを一切感じさせない秀逸なデザインとなっています。
いつまでもそばに置いておきたい器たち
非日常を演出するというよりは、使いやすく親しみやすいヨーロッパの食器ブランドであるリチャード・ジノリ。
末永く愛用できる白磁を選びたいなら、「ベッキオホワイト」をまず手に取ってみてはいかがでしょうか? フォーマルなシーンはもちろん、カジュアルなシーンにも使える使い勝手の良さが高く評価されています。老舗テーブルウェアなのに堅苦しさがまったくないリチャード・ジノリのカップでコーヒーブレイクを楽しめば、心から寛げるかもしれませんね。