世界には希少で、なかなか手に入らないコーヒーがいくつかあります。
メジャーなところだと、コピルアクなどがよく知られていますが、今日ご紹介する「ブラックアイボリー」もそのひとつ。
実はこのコーヒー、象の糞から出たコーヒー豆を使っているのです。
「コピルアクがコーヒー豆を食べるのは知っているけど、象もコーヒー豆を食べるの?」との疑問を持つ方もいるでしょう。
実は象もコーヒー豆を食べるため、コピルアクの様に糞からコーヒーを取り出すことが出来るのです。
今回は、象の糞からできるコーヒー豆「ブラックアイボリー」についてご説明します。
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最高級コーヒーブラックアイボリーはどうやって生まれたの?
ブラックアイボリーコーヒーを作るのを思いついたのは、創業者であるブレーク・ディンキン氏。彼が、動物の糞から取れるコーヒー豆を作ろうと思い立ったとき、最初は象以外の動物を候補に挙げていました。
コピルアクでも有名なジャコウネコ、キリンやライオンなどを候補として考えていましたが、最後は象からコーヒー豆を取ることに決めました。
その決め手は東南アジアが乾季に入った時期に、象がコーヒー豆を食べると知ったからです。
また、ジャコウネコは雑食性で虫なども食べる可能性もありますが、草だけを食べる象は消化器内の環境も良く、コーヒー豆が上質な仕上がりになるとの説もあります。このような点も象を選んだポイントになったのではないでしょうか。
こうして、ブレイク氏はブラックアイボリーの生産に取り掛かり始めました。
象からブラックアイボリーが出来るまでの製造過程
象の糞からコーヒー豆を作ることを決めたブレイク氏は、さっそくコーヒー豆の生産を始めます。その生産過程はブレイク氏が考えていたよりもずっと困難を極め、最初に出来た試作品はとても人が飲めるものではありませんでした。
コーヒー豆の生産は研究を重ね、完成までに9年の年月を費やしたのです。
ちなみに、ブラックアイボリーが完成するまでの道のりはこのような点がポイントになっています。
・象にハーブや果物などと一緒にコーヒー豆を与えると、酵素や酸によってタンパク質が分解されます。
・コーヒー豆が象の消化管を通る間に発酵され、苦味がないまろやかな味わいのコーヒー豆に。
・象に果物などの食事と一緒にコーヒー豆33キロを与えますが、実際に象からとれる豆の量は1キロ。
1回の食事からごくわずかな量しか取れないブラックアイボリーは、とても希少な豆だといえます。
いくつかの試行錯誤を重ねて2015年には、一定の量のコーヒー豆を生産できるようになりました。
余談ですが、ブラックアイボリーの事業は、労働力がなくなった象の飼育費用を捻出するための事業でもあるのです。
このように歳を重ねた動物を生かすべきところに生かす精神は、素晴らしい志だといえるのではないでしょうか。
ブラックアイボリーはどこで飲めるの?
象の糞から出たブラックアイボリーは苦味がなく滑らかな口当たりと強い香りが特徴で、その生産方法と味の良さは注目を浴び、世界の富裕層の間でも人気があります。
ちなみに価格は1杯50ドル(約JPY5,000.00)とかなり高額ですが、このように素晴らしいコーヒーならその価格も納得ですね。
過去に日本では、高島屋大阪店で開催されたアジア系のイベントでブラックアイボリーコーヒーが提供された過去もありますが、現在は公式サイトから直に購入できる手立てはありません。
もし、ブラックアイボリーを飲んでみたいなら、タイ・バンコクにあるアナンタラホテルなどの高級ホテルのカフェに行けば、その場で淹れたてのブラックアイボリーコーヒーを飲むことが出来ます。
コーヒーの為に海外に飛ぶのは困難かもしれませんが、時には至福のコーヒーを求めて旅に出るのもよいかもしれませんね。