ここ数年のカフェブームの影響もあってか、古民家を有効活用したカフェがクローズアップされています。

 

今回取材した、東京都大田区の『古民家カフェ蓮月(以下:蓮月)』もそのひとつ。

 

カフェとして使っている古民家は、1933年(昭和8年)に建てられたもの。「昭和」を知る世代にとっては、懐かしい思い出が蘇る空間、そして若い世代にとっては、古き良き日本の文化を体感できる佇まい。

 

蓮月は、古民家カフェを拠点とした、「人とのつながり」「地域の活性化・創生」の役割を担っていることもあり、今回取材先として選びました。蓮月のこれまでの軌跡やコンセプト、オーナーとしての取り組み、そして今後のビジョンについてお話を聞いてきました。

 

【今回インタビューした方】
古民家カフェ蓮月 オーナー
株式会社蓮月 代表取締役 輪島基史(わじまもとし)さん

地域の方の呼びかけが「縁」でスタートした古民家カフェ

池上本門寺が目の前にある蓮月。2015年9月に古民家を活用したカフェとしてスタートしました。
それ以前は、「蓮月庵(れんげつあん)」という屋号でご夫婦が蕎麦屋を経営していましたが、2014年に高齢を理由に閉店に至りました。

 

その後、「長い歴史が刻まれた蓮月庵の古民家を地域の資産として後世に残したい……」という地域の方の呼びかけもあって、輪島さんが自らカフェのオーナーとして古民家を残すことを決めました。

古民家そのものの「良さ」を活かすことを意識

昭和の香りがする階段と棚です。入口近くにあります。

輪島さんはオーナーになる前、古着に関わる仕事をしていたので、カフェの経営や古民家の再生は人生初めてのこと。そんな初めてづくしの中、約5ヶ月間でカフェの準備を進めていました。

 

カフェのオープンにあたり、意識したことを輪島さんからうかがいました。

 

――「この建物を残してほしい」という地域の方の思いを自分が背負っているので、できるだけ古民家の雰囲気を「そのまま活かすこと」を意識しました。備え付けの引き戸やテーブルなどを新しくせず、カフェでも再利用しています。店内で丸ごと変えたのは厨房とお手洗いのみです。

 

当時のメニュー表を額縁に入れて飾っています。

また蓮月は、時代と歴史をミックスした空間作りも大切にしています。2フロアある蓮月は、1階は“今”の要素も取り入れた「文明」がテーマ。現代の要素も採り入れているのが特徴となっています。

 

カップやソーサー、お皿などが波佐見焼を利用。古民家カフェとの相性も抜群です。

その一方、2階のテーマは、「文化」。貸し切りスペースである32畳の2階の部屋は、かつて旅籠でした。この空間を残したいとうこともあり、ほとんど手を入れない状態。昭和の世界にタイムスリップした気分になります。

 

蓮月の1階と2階のそれぞれのフロアを見て、古民家に刻まれた「歴史と時代」を肌で感じられました。

かつては32畳の座敷に旅籠の3部屋が存在していました。古き良き日本建築が垣間見れる窓のフレームがポイントです。

懐かしい雰囲気が漂う畳の部屋です。

輪島さんが話している姿を見ていると、古民家を後世へ「伝承」したいという想いがひしひしと伝わってきました。

日常を忘れられる「唯一無二」の空間と誰でも立ち寄れるのが強み

古民家カフェは最近ちょっとしたブームですが、蓮月がほかの古民家カフェと違う点やコンセプト・強みにしていることを輪島さんに伺いました。

 

――もともと古民家は、二つとないもの、いわゆる「唯一無二」の空間。そして、ほかのカフェで感じえない「ゆったりした時間の動き」が体感できます。蓮月では、日常のことを忘れられる雰囲気を演出しているので、それがカフェのコンセプトであり、強みだと思います。

レモンケーキと蓮花葉のお茶でホッと一息。

また、メニューに関しては、朝・昼・夜それぞれ違う「顔」を見せているのが特徴です。朝はトーストメインの軽食、昼は和食を中心とした定食、夜はお酒を提供するバーとして展開。テイストが違うメニューを時間帯に分けて提供することで、より多くの方が気軽に立ち寄れるようにしています。

コーヒーからラテ、そして蓮花茶など……、メニュー数も豊富です。

受け入れる「心」がカフェの「発展」につながる

カフェの窓も当時の古民家のもの。自然豊かなお庭の風景も蓮月の外せないポイントです。

蓮月はレトロで温かみがあり、本を読みふけってしまうような落ち着いた空間。来店する方は、地域の方もいますが、SNSで蓮月のことを知ったという方も多く訪れています。

 

来店する年齢層は、学生さんから子ども連れの方、80代までと幅広くいらっしゃいます。特に多いのがリアルな古民家に慣れ親しんだ50~60代の方。「懐かしさ」に酔いしれている方もいるんだとか。

 

また蓮月では他のカフェとは違い、客層を定めていません。色んな人が同じ空間で好きなことをする場所こそが本来の「家」だとの考えのもとだそうです。

蓮月の自習で学生たちの「未来」がどのような展開になるか注目です!

そして、蓮月ではこれからの時代の担う若者へのサポートも万全です。

 

蓮月では「勉強する場=未来を切り拓く場」とし、蓮月で自習をする学生さんに限り、ドリンクを半額で提供しています。落ち着いた空間で勉強でき、しかも低コストで過ごせるということで、学生の方にはうれしいサービスといえるでしょう。

カフェに携わることで発見できた、地域の課題点と展望

地域の活性化と創生の「未来」について語る輪島さん。

輪島さんは、蓮月をオープンさせてから、地域の交流の場にも積極的に参加しています。特に自分と違う世代との交流は発見も多いんだとか。ただ一方で、地域を担う若者が少なく「活性化」や「伝承」につながらないことが課題点であるとも感じるそう。

 

そんな状況を改善すべく、輪島さんは次世代が地域で開業やチャレンジする環境を整え、地域を「活性化」させる場を作っています。

古民家カフェを軸とした次世代への地域活性と創生の伝承を

古民家を活用したカフェ『蓮月』は2015年9月にオープンして以来、あらゆる世代の人たちから人気を集めています。

当時の自転車もディスプレイとして活用。

『古民家カフェ蓮月』は地域の活性化にとどまらず、広いビジョンでこれからのことを考えています。多くの方が「東京に行ったら蓮月に立ち寄ろう」と思えるよう、エリア単位で地域の創生に取り組み、古き良きものを後世に残す心を発信しています。

その前向きな積み重ねが、多くの方の心を動かし、後世に「つなぐ」きっかけとなるでしょう。そして、より良い地域の活性化と創生として「実」を結ぶのではないかと思います。

【店舗情報】
古民家カフェ蓮月
住所:146-0082 東京都大田区池上2-20-11
アクセス:東急池上線「池上駅」北口より徒歩8分
TEL:03-6410-5469
営業時間:月火水木 10:00~20:00(LO 19:30)、金土日祝 10:00~22:00(LO 21:00)
※トーストのご注文は11:00まで
不定休
備考:駐輪および駐車スペース3台あり、無料Wi-Fiあり
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