機内安全ビデオのユニークさで有名なニュージーランド航空ですが、環境問題にも積極的に取り組んでいます。「Flight shame(飛び恥)」と呼ばれる環境運動が話題になっているいま、空の旅を敬遠する人たちもいるようです。
しかし、ニュージーランド航空の一歩進んだ取り組みを知れば、航空会社の環境への配慮を知ることができるでしょう。本記事では、エコな試みのひとつである「食べられるコーヒーカップ」についてご紹介します。
目次
環境問題の意識が高いニュージーランド航空
ニュージーランド航空といえば、「エアライン・オブ・ザ・イヤー2020」で第1位に選ばれた優良航空会社です。この航空会社ランキングは乗客レビューをはじめ、安全性や機内設備、収益性や環境などのカテゴリーから総合的に評価されるもので、ニュージーランド航空は6度目の首位獲得となりました。
ニュージーランド航空日本支社では、プラスチック製の使い捨て容器の社内持ち込み禁が禁止されています。ペットボトルはもちろん、レジ袋やテイクアウト用のコーヒーカップの蓋なども持ち込まないといった徹底ぶり。このユニークな社内ルールには、二酸化炭素を大量に排出する飛行機を運行しているからこそ、少しでも環境への負担を減らしたいという願いが込められています。
また、2019年秋からニュージーランド航空ではプラスチック製のカップに代わり、すべての機内やラウンジにてコンポストで分解可能な植物由来のカップを利用してきました。プラスチックごみの削減に積極的な姿勢を見せるニュージーランド航空ですが、今度は「食べられるカップ」を試験導入したとのことです。
評判も上々!バニラ味のコーヒーカップを試験導入
おいしさとエコを追求した食べられるコーヒーカップとは、どのようなものなのでしょうか?
最大8時間は利用可能な「食べられるコーヒーカップ」
ニュージーランド航空が一部路線にて試験導入した「食べられるコーヒーカップ」は、バニラ味のクッキーです。地元企業「twiice」が、本当においしい食べられるカップを作ろうと開発したもので、小麦粉や砂糖、卵などからできています。「コーヒーを淹れても漏れないの? 」と心配になりますが、耐水性があるカップですから、飲み物を注いでから最大8時間は問題なく利用できます。
カップの評判は上々で、同航空会社ではデザートの器としても利用しているそう。ニュージーランド航空の機内で提供されているコーヒーは年間800万杯以上ともいわれており、食べられるコーヒーカップを本格的に導入すれば、プラスチックごみの大幅削減が実現可能です。
開発企業によると、アレルギーなど食事に制約のある人も利用できる製品を開発することが、今後の課題となっているのだとか。いまのところ日本路線への試験導入は未定ですが、環境への良い効果や利用者たちから良い反応が得られれば、もしかすると本格的に食べられるコーヒーカップの導入がはじまるかもしれませんね。
他人事ではないプラスチックごみ問題
プラスチックごみが環境に悪いことはわかるけれど、どんな害があるのか、いまいちピンとこない人もいらっしゃるはず。便利で衛生的なうえ、低コストのプラスチック製品は、現代人の生活には欠かせないアイテムです。しかし、使い捨てされたプラスチックごみは、すでに地球だけではなく、わたしたちにも影響を及ぼすものとなっています。
現在、年間約800万トンものプラスチックごみが海に流れており、このままでは海の魚の重量よりもプラスチックごみのほうが重くなる可能性があるのだとか。また、海に流れたプラスチックごみのせいで、約700種類もの生き物たちが被害を被っています。
わたしたち人間も例外ではなく、WWF(世界自然保護基金)によると、世界中の人が1週間に5グラムものマイクロプラスチック粒子を体内摂取していることが明らかになりました。5グラムといえば、クレジットカード1枚分に相当します。1ヶ月なら、クレジットカード約4枚がわたしたちの体に蓄積されることに! プラスチックは水道水やペットボトルに入った飲み物のほか、わたしたちが食べる魚や貝、塩などからも検出されたといいます。
体内に蓄積されたプラスチックがどのような影響を与えるのか、まだ明らかになってはいませんが、体に良くないということだけは理解できるのではないでしょうか。年間推定約250グラム以上ものプラスチック(Mサイズの卵5個分ほど)がわたしたちの体内に蓄積されることを考えると、プラスチックごみの削減にいますぐ取り組まなければいけない理由がわかるでしょう。
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環境のためにできることを探して
ニュージーランド航空の環境への取り組みは、ただの話題集めでは終わらないはずです。使い捨てのプラスチック製品を使用せずに済めば、プラスチックごみを減らす助けになるでしょう。ニュージーランド航空に倣って、環境のためにどんなことが自分にできるのか考えてみたいですね。
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