近年、コーヒーの生産地や豆の素材や価値などにこだわった、高品質なスペシャルティコーヒーが注目されてきました。そんな中、話題となっているのがコーヒーの第3の波とも呼ばれる「サードウェーブコーヒー」

 

しかし、本当は「サードウェーブ」って言われてもピンと来ない……なんて方もまだまだ多いのではないでしょうか。今回の記事では、そんな方に、サードウェーブコーヒーとは何かを説明していきます。

コーヒーの普及による第1の波【ファーストウェーブ】


インスタントコーヒーの普及などで、広く一般家庭にコーヒーが広まったのがコーヒーの「ファーストウェーブ」とされています。

コーヒーがたくさんの人に飲まれるようになり、大量生産、大量消費の時代です。
真空パックなどの加工技術や、流通網の発達により急激に普及が進んだため、品質はそれほど重視されていませんでした。

 

家庭だけでなくビジネスマンにもよく飲まれるようになり、濃度が薄くてゴクゴク飲めるアメリカンコーヒーが認知されたのもこの頃です。

シアトル系の出現による第2の波【セカンドウェーブ】


1960年ごろから、コーヒーの品質を重視し始めるムーブメントが台頭してきます。

アメリカではそれまで一般的だった薄くてあっさりしたコーヒーとは対照的な、深く焙煎した風味の強い豆をエスプレッソで抽出し、ミルクやクリームを混ぜたドリンクが流行しました。

 

当時IT企業の多かったシアトルで、若いエンジニアたちにこのファーストフード式のサービスと値段の安さが受け入れられ、アメリカ全土にチェーンが広がるようになります。

 

シアトルのカフェが中心だったことから、「シアトル系」「シアトルコーヒー」などと呼ばれ、見た目の華やかさやトッピングの自由度が日本でも人気を博しています。これが俗にいう「セカンドウェーブ」です。

品質と安心感が最重要視される第3の波【サードウェーブ】


コーヒーの品質に関心が集まり始めたセカンドウェーブ。

 

しかしまだ大量生産・大量消費に他ならず、品質や風味に満足しない人たちもいました。さらなる品質の向上を目指すため、コーヒーの生産地や農園による風味の違い、トレーサビリティ(誰が生産・加工しているのかが明確にわかること)を重視し、よりコーヒーの味にクローズアップしたカフェが90年代から出現します。

 

それまでは、大きな企業が大量に仕入れるしかなかったコーヒーの生豆を、バリスタ達が集まって農家から共同購入するに。それにより、小規模な自家焙煎所(マイクロロースター)が増え、小さくてもユニークで高品質なコーヒーを出すことが可能になりました。

 

ポートランドやシカゴを代表とするそれらのカフェは、農園単位で生豆を自ら焙煎、抽出することよって、可能な限り高品質のコーヒーを出そうというコンセプトが話題になります。

 

1杯ずつ丁寧に手でコーヒーを淹れる、ハンドドリップでの抽出はトレンドとなりました。高い品質のコーヒーを、適正な価格で提供するというスタイルに注目が集まり出したのです。

 

また同時期に、それまで品質の低いものを判断するためだったコーヒーの品質評価方法を見直し、いかに素晴らしい風味なのかを評価する品評会が発足。コーヒーの品質は世界的に見直されることになりました。

 

サードウェーブコーヒーとは、コーヒーの品質を今まで以上に追求するためのこのような様々な取り組みの総称なのです。

 

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サードウェーブコーヒーは美味しさを追求したもの


サードウェーブコーヒーという名称は日本でもある程度浸透し、騒がれることは少なくなってきました。しかし、品質の良いコーヒーを提供するコーヒー店が増えたのは、サードウェーブというムーブメントのおかげ。

 

今では日本にも様々な場所にサードウェーブな高品質コーヒーが飲めるカフェがたくさんあります。特に、LAWSONでは、コーヒーのレクチャーを受けたうえで、挽きたてかつ淹れたてのコーヒーを提供する、「MACHI cafe」なんかも話題になりました。

 

サードコーヒーのムーブメントによって、口にする機会が多くなった高品質なコーヒー。これまで以上に、自分なりの「コーヒーの美味しさってなんだろう」を考えてみてはいかがでしょう。

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