9月って、本当になんだか切ない。8月31日まではあんっなに暑い日が続いていたのに、9月に入った途端、秋の風が吹き始める。

 

一気にセンチメンタルにさせるわよね。あれだけ暑いー溶けるーと文句ばかり言ってた私も、秋を感じてしまう夏の終わりがいまだに苦手。まぁ、私の場合は切なさに身を投じるのもほんの一瞬で、すぐに「やった~過ごしやすい季節到来♡」ってなるんだけど(苦笑)

 

久し振りに本を読んだり、ここぞとばかりに映画を観たり、早速秋を楽しんでたんだけど。さすがに家だけだと飽きてくるのよね。ってことで近所にできた新しいカフェでまったり決め込むことに。

 

でもね、ここにもいたの。数日前の私みたいに、秋のセンチメンタルにやられた女性が。

 

店内にいるゲストは私とその女性のふたり。彼女はどうやら店長と友だちみたいで、カウンター越しで店長と楽しげにおしゃべりしていたの。私は私で、久しぶりに読みたくなった燃え殻さん著の「ボクたちはみんな大人になれなかった」をカフェラテ片手に読んでいたのよね。

 

あーー、幸せないい時間

 

とか思っていたら、いきなり先ほどの彼女が、店長に言い放った。

 

「例えば私が、今でもあなたを好きだとしたら」

 

 もう本読んでいるどころじゃないわこの感じ。え、てか私いること忘れてない? てかこのふたり、友達じゃなくて元恋人同士? それとも片思い? や~困った。困ったけど何事もないふりして本読むふりを続けるしかないわよねこれ(苦笑)

 

脳内で独り言MAXな私をよそに、ふたりの会話はすすんでいく。

 

女性「ねえ。例えばまだ私が店長のこと、好きだとしたらどうする? 別れて3年経って、今ではこうして昔みたいな友達に戻って。私には新しい彼氏もいて」

 

なるほどね。ふたりは元恋人同士で、今はいい関係で、で? 彼女には新しい彼氏がいるわけね。

 

じゃぁなんであえてそんなこと聞いてるのかしら。あ~わかった。あれね、彼女、今センチメンタル真っ只中なのね。

 

店長「あぁ。それはね、うれしい。うれしいよ。しかも実は知ってる。まだ、君が僕のことを好きなんだってことも。それに、僕だってまだ君のことが好きだ」

 

もう……完全に私居づらいじゃないのこの場所。(二度と来るか)

 

女性「……あーあ。でも私達、わかってるもんね。戻ったところでうまくいかないこと。だから、私達は付き合わないんだよね。でもね、今、好きなまま別れた副作用が来てるわ。3年ぶりに」

 

店長「ほんとだね。まぁ、別れた時も秋間近だったから。どうしても思い出しちゃうね」

 

ここで、私にとっては救世主の新しいゲストが入店。そこからは、普通の会話に戻っていったふたり。

 

私、思うのよね。

 

男も女も、決して忘れない相手が、必ずひとりはいるはずで。このふたりは、互いにそんな相手なのでしょう。

 

でも彼女自身が言ってる通り、ちょっとこの秋の切なさにやられて、副作用出ちゃってるわね。これひきずると、結構危ないわよ。今隣りにいてくれる新しい恋人との間に影響も出かねない。

 

思い出ってどうして濃くなっていくのかしらね。みんな、柄にもなくセンチメンタルになる季節。秋は、罪深い。

 

でも彼女には今、新しい彼氏がいるんでしょう? そんな状況であの言葉はさすがにルール違反。過去に引きずられて、今ある幸せを自ら逃してしまわぬようにね。

 

そんなことを思いながら、カフェを後にしたの。

 

だけど私も、少しだけ考えてしまった。

 

「例えば私が、今でもあなたを好きだとしたら」そんな言葉を言う相手のこと。

 

ま。私は、想像だけにとどめておくけどね。

 

 

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