難民や避難民の流入に伴い、近年では貧困国として知られるエチオピア。実はコーヒーの発祥地だと言われているほどコーヒーには縁がある国であり、有名なエチオピアコーヒーの原産国でもあります。
世界最高峰の香りと語られるエチオピアコーヒーですが、その評価を聞いて飲んでみたいと思う方も多いでしょう。今回はコーヒーを語るには欠かせないエチオピアと、そのコーヒーの特徴や味、おすすめの飲み方についてご紹介します。
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目次
コーヒーの歴史 エチオピアはコーヒー発祥の地
9世紀頃、ヤギ飼いの少年(ちなみに、カルディという名前だそう)が、コーヒーの実を食べて飛び跳ねるヤギを見つけました。試しにその実を茹でて修道院で飲んでみたものが最初のコーヒーであったという有名な伝説があります。
後にこの話は、レバノンに残る書物に記された逸話であり、発祥国も時期も不明であったのがヨーロッパに持ち込まれる際に脚色されてエチオピア発祥になったとの説が有力とされました。エチオピアの奥地では古くからコーヒーの果実を煮たものを飲用されており、それが諸国に伝播されたのでしょう。それほどにコーヒーの歴史と深い関わりがある国なのです。
エチオピアは2,000mもの高地に位置する平地を持つアフリカ東部の国。国土は日本の約3倍程度で、首都はアディスアベバ。アディスアベバにはアフリカ連合の本部があり、アフリカ諸国の外交中心地の一つともなっています。
コーヒーの生産が主な産業で、経常収入の60%もの割合を占めています。生産量は世界で第7位、アフリカでは1位。しかも生産量の半分は自国内で消費されるという正真正銘の「コーヒー大国」と言えます。
コーヒーの産地 エチオピアの特徴
エチオピアは、東アフリカに位置する有名なコーヒーの原産国のひとつ。低地だと夏場は暑い時で50℃を超える極めて暑い地域ですが、標高の高い地域では年平均気温が20℃程度と過ごしやすい気候になっています。緑ゆたかな土地に加えて年間降水量は1,200mmとなっており、地域全体がコーヒー栽培に適した環境になっていると言えるでしょう。
ここでおもしろいのが、エチオピアの農園で生産されるコーヒーは全生産量の10~15%とかなり低いこと。エチオピアコーヒーのほとんどが自然林で自生しているものや、自然林に手を加えた土地から栽培しているもの。そのため、エチオピアのコーヒーには決まった品種がなく、産地で銘柄を分けられているといったユニークな側面があるのです。
エチオピアコーヒーの別名「モカ」
エチオピアのコーヒーには古くから「モカ」という呼び方があります。これは、海を挟んだイエメンにある「モカ港」が起源とされ、そこから輸出されるコーヒーにはエチオピア産が多量に混じっていたためと言われています。古くからヨーロッパからみたコーヒー生産国として有力だった名残かもしれません。
前述の通り、エチオピア国内でもコーヒーの消費が非常に多いことが非常に特徴的。奥地では今でも、祭事に「コーヒーセレモニー」と呼ばれるコーヒーの回し飲みが行われるそうです。産業としてだけでなく、文化としてコーヒーとの結びつきが強い事が見て取れます。
ナチュラル方式によって作られる「モカ香」とは
エチオピアでは古くからナチュラル方式での精製が多く、「アフリカンベッド」という藁を敷いた乾燥棚の上にコーヒーチェリーを広げて天日干しをするのが伝統的。このナチュラル方式によって作られるエチオピア豆には「モカ香」と呼ばれる独特の風味があるとされており、エチオピアコーヒーを楽しむファンの裏付ける一因にもなっています。ワインのような風味や少しの発酵臭は癖になる味わいで、同じアフリカンベッドを用いるブラジル産のコーヒーとも異なる風味が魅力的です。
近年ではシダモ地域をはじめに、ウォッシュド(水洗式)を採用する農家も出てきました。ナチュラルのモカ香とは異なるマスカットやピーチ・柑橘・花の香りがほのかにするコーヒーは絶品です。ただし流通量は多くないので、見つけた際はお試しあれ。
エチオピアコーヒーの味 〜世界最高峰の香り〜
エチオピアのコーヒーは世界最高峰の香りだと言われ、フルーティでジャスミンのように甘く華やかな香りを楽しませてくれます。一般のコーヒーと比べると苦味や甘味、コクは控えめとされており、その上質な酸味を伴う味わいから、コーヒーはフルーツなのだと気付かされます。他のコーヒーと比べてユニークな味わいを持ち合わせていることから、ブレンドコーヒーに少し入れるだけで個性的な味へと変化します。
エチオピアコーヒーの香りと酸味を最大限に引き出すため、焙煎はミディアムローストからハイローストがおすすめ。苦味とコクが弱いためミルクやシュガーを合わせず、ストレートで飲むとフルーティな香りを堪能できます。「苦いだけがコーヒーじゃない」と気付かせてくれる一杯です。
エチオピアコーヒーの特徴
コーヒーの品種(ティピカ、ブルボンなど)は、風味キャラクターの判断にしばしば用いられますが、エチオピアのコーヒーではこれは通用しません。
先述の通り、エチオピアのコーヒー農地の多くは自然林であり、つまり原種。古くから交雑が組み合わされた多種類の品種が混ざっているため特定し難いのです。世界のコーヒー農家が、コーヒーの品種や精製方法などにシステマティックな構造を採用する中、エチオピアがトップに居続けられるのは特徴を持っているためなのかもしれません。
このように品種のないエチオピアコーヒーですが、銘柄を分ける際には「地名」を用いています。ここからはエチオピアコーヒーで有名な3種類の「モカ」について解説していきます。
代表的なブランド「モカシダモ」
エチオピアコーヒーを代表する銘柄として最も有名なのがこの「モカシダモ」。なめらかな酸味とほのかに甘いまろやかな味わいが特徴的です。深煎り焙煎によってより深いコクと苦味を楽しめるほか、ブレンドのアクセントとして使われることも多く、アイスコーヒーではより一層甘い香りを引き立てます。
マイルドな酸味「モカハラー」
エチオピアのなかでも気候や地形に最も恵まれた土地で栽培される「モカハラー」は、他のモカよりマイルドな酸味を楽しめます。甘いワインのようだと表現されることが多く、浅煎りではカシスのような味わいと柑橘系の香り、深煎りではダークチョコレートのような深みといったさまざまな表情を見せてくれます。
フルーティで芳醇な香り「モカイルガチェフェ」
シダモ地方に位置するイルガチェフェ村から生産される「モカイルガチェフェ」。日本国内でもブランド豆として見かけることが多いでしょう。イルガチェフェのコーヒーは、ベリーやワインのような香り、花の香りなどと評される複雑でユニークな風味を持ち、世界のどの地方のコーヒーとも違う華やかさを持っています。
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エチオピア産コーヒーまとめ 〜世界有数のコーヒー大国は謎でいっぱい〜
エチオピアのコーヒーは、世界のコーヒーファンが注目するほど豊かなカッピングプロファイルがあります。にも関わらず、品種の不確定さやシステム化されていない体制など、ひときわ「奥深い」存在であると言えるでしょう。
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