毎年梅雨頃になると、山形にいる知人から、名産物のさくらんぼが届きます。
今までは「佐藤錦」という品種が一番美味しいと聞かされていたのが、今年は「紅秀峰」という品種が送られてきました。
その知人曰く、「今はコレ(紅秀峰)が一番旬。果実が大きくて甘さも強い。オマケに見た目も良い。」そう。いつもスミマセン…と恐縮しつつも、食べてみると確かにプチっとした食感とさくらんぼの甘みがとても美味なのでした。
コーヒーの記事を多く取り扱うcafend読者の中には知っている方も多いかもしれませんが、コーヒーの果実も「チェリー」という呼ばれ方をします。
私たちが目にするさくらんぼの半分くらいの大きさですが、同じような綺麗な赤色。それこそさくらんぼのような甘酸っぱい風味を連想する、美味しそうなその実はコーヒーチェリーと呼ばれ、収穫の際に手伝う子供たちがつまみ食いをしている風景もよくみられるそうです。
今回は、種ばかり注目されるものの、コーヒーの風味に大きな影響を与えるコーヒーチェリーについてお教えします。
実は話題? コーヒーチェリーとは
コーヒーチェリーとは、前述の通りコーヒーの果実のこと。
そもそもコーヒー豆は、コーヒーノキという植物の種を煎ったもので、その種はこのコーヒーチェリーの中心に入っているのです。
コーヒーチェリーは黄緑色をしており、熟すと鮮やかな赤色、品種によっては黄色になります。
コーヒーチェリーは大きく分けて皮の部分、果実、種という構造でできており、コーヒー豆の精製方法のほとんどは、何らかの方法で皮や果実を除去し、種だけ残して乾燥させるというルートを辿ります。
スペシャルティコーヒーのテイスティングノートでよく見かける、「黒い果実」とか「赤い果実」といった表現方法があることも、このコーヒーチェリーの果実の存在から納得することができます。
しかもこの果実はカフェインを含んでいるだけでなく、コーヒークロロゲン酸や抗酸化作用といった側面も注目を浴びており、サプリメントの原料としても利用されているそうです。
ただしこのコーヒーチェリー、果実の部分はかなり少なく、種子が大部分を占めているため、食用としてはそれほど流通しているとは言えません。
コーヒーチェリーは知られざるスーパーフードだった!?
実は近年、このコーヒーチェリーはスーパーフードとして、アメリカを中心に注目を浴びています。その正体はコーヒーチェリーの果実部分のみを粉末にしたもので、小麦粉の代用品としてしようすることができるそう。
コーヒーの精製にて取り除かれるコーヒーチェリーの果実は、ハワイコナの農場などでは肥料として使われていたものの、世界のほとんどの農園/精製工場では廃棄物扱い。
しかもこの果実は、腐敗するとメタンガスを発生させるということで、公害問題としても取り沙汰されるような存在でした。
これを有効利用できないかと、スターバックスの出身者などが創業した「CFグローバル社」がこれを「コーヒーフラワー」という名前で製品化すると、じわじわと米市場で浸透してきた、という経緯です。
このコーヒーフラワーには鉄分やカルシウムが豊富に含まれているだけでなく、グルテンフリー食材としても使用可能。さらに抗酸化作用やクロロゲン酸の効果も注目されています。
コーヒーチェリーを手軽に感じられる「コーヒーチェリーティー」とは
とは言え、コーヒーフラワーもコーヒーチェリー自体も、日本国内ではほとんど流通していないシロモノです。味わってみようにも、ちょっと手間なのが気になるところ。
そこで近年コーヒークラスタで話題に上がることが多いのが、「コーヒーチェリーティー」です。
コーヒーチェリーティーは、WBC(ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ)のチャンピオンがアレンジメニューに起用したことで一躍注目を浴びたことから、スペシャルティコーヒーを扱うショップを中心に取り扱いが増えています。
カフェインを含んでいるので「ティー」という名称がついているものの、焙煎をしないためコーヒーのような苦味とは無縁の、ローズヒップティーのような華やかな香味が特徴です。
元々はコーヒー生産国でコーヒーの代わりとして飲まれていたものですが、先進国で注目されつつあるというのが不思議です。
コーヒー専門店では取り扱いが増えてきていますので、見つけたら是非ともチェックしてみてください。
きっと、「コーヒーチェリーはこんな風味なのか」が体感できるはずです!