コーヒー業界で、コーヒーを生産国というカテゴリーだけでなく、農場単位で考える「シングルオリジン」という言葉が一般的になってからはや数年。コーヒーショップでも、豆を産地ごとに選べるようなケースが随分と増えました。

 

 

コーヒーには、産地ごとに特徴的な風味があり、それぞれの特徴を知ることで自分の好みも把握しやすくなります。環境や土壌、風土を知ることで、もっとコーヒーを楽しめると言っても過言ではないでしょう。

 

 

今までcafendでは、国ごとにコーヒー豆の特徴について特集してきましたが、今回はそれぞれの特徴がわかりやすいよう世界の代表的な産地の8つの国を選び、まとめてみます。

 

【まとめ】コーヒー豆の産地別の特徴

「モカ香」が有名。【エチオピア】


エチオピアは、コーヒー発祥の地として知られています。

今も品種が特定されない原種のコーヒーノキによるとされている、ストロベリーやワインの香りはエチオピア特有のもので、古くは「モカ香」などと称されていました

近年話題となっていたパナマやグアテマラの「ゲイシャ」種も、実はエチオピア原産の品種です。

 

 

イルガチェフェやシダモと言った産地のナチュラル(非水洗式)は、前述のストロベリー、ワイン、紅茶、ベリーなどの香りや甘い風味やが特徴です。生産量の少ないウォッシュド(水洗式)ではマスカットやピーチなどのプロファイルも散見されます。

 

 

力強くも爽やかな酸味は非常にユニークで、ファンが多いです。シングルオリジン初心者の方にもオススメしたいコーヒーです。

 

 

エチオピア産コーヒーの味と特徴【発祥地のコーヒー豆は奥深い?】

cafend エチオピア コーヒー 特徴 アイキャッチ
コーヒー発祥の地 エチオピアコーヒーの味と特徴【芳醇なモカの香り】
2021.8.3
難民や避難民の流入に伴い、近年では貧困国として知られるエチオピア。実はコーヒーの発祥地だと言われているほどコーヒーには縁がある国であり、有名なエチオピアコーヒーの原産国でもあります。 世界最高峰の香りと語られるエチオピアコーヒーですが、その評価を聞いて飲んでみたいと思う方も多いでしょう。今回はコー...…

 

「キリマンジャロ」で知られる。【タンザニア】


日本では昔から「キリマンジャロ」の名で知られるタンザニアのコーヒー。タンザニアは、アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山周辺が高品位な産地として有名です。

 

 

ちなみに、日本でキリマンジャロの名が知られているのは、アーネスト・ヘミングウェイの作品である『キリマンジャロの雪』によるそうです。高い標高による寒暖差と、雨季の存在は、高品質なコーヒーの栽培に向いているとされています。

 

 

「力強い」と表現されることの多いタンザニアのコーヒーは、アフリカらしいフローラルフレーバーのほか、柑橘やパッションフルーツの香りが特徴です。

 

 

キリマンジャロコーヒーの味と特徴【華やかな柑橘の香り】

キリマンジャロコーヒーの味と特徴【華やかな柑橘の香り】
2018.11.1
「キリマンジャロ」は、日本のコーヒーシーンでも古くから親しまれているコーヒー銘柄の1つ。「キリマン」などと呼ばれることもあるこの豆ですが、実はタンザニアという国の豆だと知っていましたか?華やかで野性味溢れるキリマンジャロはアフリカのコーヒー産地の中でもユニークな風味を持っていることでファンも多い銘柄...…

 

ヨーロッパで人気。【ケニア】


サバンナ、マサイ族など、ワイルドな大自然のイメージが強いケニア。しかし、コーヒーの研究に関してはアフリカでもトップレベルの情報量を持っています。国ぐるみでコーヒー生産の管理が行われているため、品質の均一さにも定評があります。

 

 

ヨーロッパなどでは、以前からコーヒー銘柄としては人気で、ハイクオリティな豆が欧州各国のオークションで高値で取引されています。

 

 

ほとんどがウォッシュド(水洗式)での生産で、オレンジなど柑橘の香りとしっかりしたボディが特徴です。酸味が比較的強く、好みが別れるとされることも多い銘柄。気になる方はあっさりした浅煎りのドリップコーヒーで楽しむのがおすすめです。

 

 

ケニアコーヒーの味と特徴【柑橘の香りと力強いボディ】

ケニアコーヒーの味と特徴【柑橘の香りと力強いボディ】
2018.11.1
多くの人は「マサイ族」を連想するであろう赤道直下の国、ケニア。この国を支える農業のうち、紅茶についで大きな比率を閉めるのがコーヒーの生産です。 欧州などでは以前からコーヒー銘柄としては人気で、スペシャルティコーヒーの世界では名を馳せています。ハイクオリティな豆がヨーロッパ各国のオークションで取引...…

 

有名銘柄の「エメラルドマウンテン」。【コロンビア】


「エメラルドマウンテン」と聞くとわかる人も多いであろうコロンビアのコーヒー。コーヒーの有名銘柄の「エメラルドマウンテン」をはじめ、南米ではブラジルのついで生産が盛んです。コーヒー栽培の歴史が1800年頃からと古く、コーヒー生産協会などの整備も進んでいる国です。

 

 

コロンビアコーヒー生産者共同組合によって認定された一握りの高品位豆のみが、エメラルドマウンテンの称号を与えられます。

 

 

深煎りにしても潰れない甘さまったりとした重厚なボディが特徴的で、じっくりネルドリップなどで淹れるコーヒーにはファンが多いでしょう。浅煎りの豆には南国系の果実の香りが現れることがあり、甘みを感じやすい銘柄と言えます。

 

 

コロンビアコーヒーの味と特徴【エメマンの聖地…濃厚な苦味と甘み】

コロンビアコーヒーの味と特徴 濃厚な甘味と果実感、バランスの取れたマイルドな一杯
2021.6.24
コロンビア・コーヒーと言えば、缶コーヒーのCMでもおなじみの「エメラルドマウンテン」を思い出す人が多いと思います。 そして「ああ、なんか高級で酸味が強いコーヒーだ」とイメージする人が多いのではないでしょうか。 エメラルドマウンテンはコーヒー生産国で有名なコロンビアを代表する有名銘柄のひとつです。...…

 

スペシャルティグレードの豆が人気! 【グアテマラ】


グアテマラ(ガテマラ)は、南米でも高品質なコーヒーを大量に生産している代表的な国です。日本でも多くのカフェでスペシャルティグレードの豆を取り扱っています。

 

 

南北に走るアンデス山脈によって寒暖差が大きく、降雨量が多くコーヒー栽培には非常に適した環境。

 

 

コーヒーの生産自体がかなり大きな経済要素となっている国で、毎日のコーヒーの価格が為替のように報道されるという逸話も。シェードツリーの推奨など、国ぐるみで管理の行き届いたグアテマラのコーヒー。重めのボディ(まったりと重厚な感覚)と柑橘の香り、チョコレートのような甘さが介在しているのが特徴です。

 

 

グアテマラ産コーヒー豆のほとんどがウォッシュド(水洗式)のため、鮮やかな酸味を楽しみやすい銘柄とも言えるでしょう。浅煎りから深入りまで味が潰れない懐の深さからブレンドのベースとしても人気の優等生です。

 

 

グアテマラ産コーヒーの味と特徴【味も量も世界トップレベル!】

グアテマラ産コーヒーの味と特徴【味も量も世界トップレベル!】
2018.10.24
日本のコーヒーファンの間では昔から有名なグアテマラ(ガテマラ・グァテマラ)。シングルオリジンを取り扱うコーヒーショップでも人気の高い銘柄で、固定ファンも多い生産国の1つですです。 しかし、グアテマラってどんなコーヒーでしょうか?それどころか、どんな国だか知っている人の方が少ないのではないでしょうか...…

 

オーガニック生産! 【東ティモール】


アジア圏のコーヒー生産地として近年注目されつつあるのが東ティモール。日本では紛争地域としてのイメージが強いものの、世界中のNPOなどに支えられてコーヒーの生産に力を入れています。

 

 

東ティモールのコーヒーの最たる特徴としては、オーガニック生産であるということ。

植民地時代に肥料を買う資金力のない農家が多かったことが発端とされていますが、様々な支援団体によって無農薬栽培とフェアトレードをサポートし、世界でも珍しいオーガニック・スペシャルティコーヒーの生産国となりました。

 

 

風味特性は、それほど強くはないものの青リンゴの香りが独特とされ、癖のない苦味も人気の要因です。エコに関心のあるコーヒーファンは注目の産地です。

 

 

東ティモールコーヒーの味と特徴【爽やかな酸味と力強い苦味】

東ティモールコーヒーの味と特徴【爽やかな酸味と力強い苦味】
2018.10.31
アジアで世界的なコーヒー生産国と言えばマンデリンが有名なインドネシアが筆頭でしょうか。 スペシャルティコーヒーの流行で言及されることの減ったアジア圏のコーヒー生産国の中で、近年急成長を遂げているのがインドネシアからほど近い東ティモールという国です。 「東ティモール」と聞くと戦争のイメージが強い方...…

 

コーヒー界の万能選手。【ブラジル】


世界で流通するコーヒーの30%はブラジル産だと言われるほどに多くのコーヒー生産量を誇ります。No.1、No.2などと番号によってランク付され、高品質なブラジルのコーヒーはチョコレートやナッツの香りが感じることができます。酸味は弱く、ボディは重め。苦味にも癖が少ないために個性に乏しいと評されることもありますが、酸味が苦手な人が豆の個性を楽しめる数少ない銘柄かもしれません。

 

 

ブラジルのコーヒー農家では伝統的に天日干し、ナチュラル製法がおこなわれることも多く、これによって深みのある香りが醸成されるとされています。

 

 

生産量の多さから流通している価格も、比較的安い傾向があります。そのためブレンドベースのアラビカ豆としての人気が非常に高く、グルメコーヒー界の万能選手と言えるかもしれません。

 

 

ブラジル産コーヒーの味と特徴【生産量世界一の豆の魅力とは】

Brazil
ブラジル産コーヒーの味と特徴【生産量世界一の豆の魅力とは】
2018.10.12
コーヒーの有名な生産地は数あれど、生産量がダントツで世界一位なのがブラジルのコーヒー豆です。 その種類は、ユニークなシングルオリジンから、万能なブレンドベースとして扱われるオールラウンダーまで。そんなブラジル産コーヒー豆の「特徴」と「味」とは、一体どんなものなのでしょうか。 コーヒーの世界一の生産...…

 

マンデリンが高評価。【インドネシア】


かつての深煎り人気が強い日本、エスプレッソ文化のあるヨーロッパ圏にて一般的なのがインドネシアのコーヒーです。中でもスマトラ島で生産されるマンデリンという銘柄が非常に有名です。

 

 

中深煎りから酸味が消え、独特で複雑な香りがするのが大きな特徴です。インドネシアではロブスタ種(カネフォラ種とも。苦味が強くてカフェイン含有量が多い。価格が安価なコーヒーや苦味を出す目的でのブレンドで使用される。)の生産が盛んで、日本で人気のスペシャルティグレードのユニークな風味はアラビカ種と自然交配したことで生まれたという説が有力。

 

 

深煎りにした時のスパイシーとも、ハーブのようだとも評される香味が人気だったために「酸味のない豆」と認識されている節がありますが、スペシャルティグレードのマンデリンを浅煎りで味わうとレモンのような鮮やかな酸味や草木の心地よい香りに出会うことができます。

 

 

とりわけユニークな風味を持っていることから、これから人気の再燃する銘柄かもしれません。

 

 

マンデリンコーヒーの味と特徴【知られざるスパイスの香りとは】

世界唯一の貴重な豆 マンデリンコーヒーの味と特徴【重厚なコクと苦味】
2021.8.5
モカやブルーマウンテン、キリマンジャロなど、産地や地方によって銘柄に独特な名称がつけられるコーヒー豆は数多くあります。 そのなかでも、モカやハワイコナと並び特徴的なフレーバーで人気があるのが「マンデリン」。シナモンやハーブのような香りに加えて、重厚なコクと苦味を楽しませてくれるマンデリンコーヒーは...…

 

コーヒー銘柄飲み比べのコツとは

コーヒーの好みは、本当に人それぞれ。ガツンと苦い真っ黒なコーヒーが好きな人もいれば、透き通ったブラウンのフルーティな香りがするコーヒーが好きな人もいます。

 

 

コーヒーを産地ごとに楽しむコツは、産地ごとの違いを把握することです。違いを認識することで自分の好みをより理解することができるので、自分にとっての美味しいコーヒーを追いやすくなるのです。

 

 

産地の違いがあまり感じられない時は、大陸で分けて飲んでみると違いがわかりやすい場合もあります。例えば、アフリカのコーヒーはチェリー系の香りがあったり、南米の豆にはオレンジをはじめとする柑橘の香りが現れやすかったり。

 

 

こんな産地によるフレーバーの違いが味わえるようになると、今よりもっとコーヒーを理解し、好きになっているあなたがいるはず。是非とも色々と試して、自分の好きなコーヒーを探してみましょう。

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