紅茶

英国のアフタヌーンティー

 

紅茶と言えば、最初に英国のアフタヌーンティーを思い浮べる方は、多いのではないでしょうか。三段トレイに載せられた小さなサンドイッチや、スコーンや可愛らしいカップケーキなどと共に登場する、ウェッジウッドやロイヤルドルトンなどの英国製のカップ&ソーサー。日本でも、英国風のカフェで優雅にアフタヌーンティーを楽しむ女性が増えています。

 

現在では普通に持ち手のあるティーカップですが、最初は持ち手がなかったってことを、ご存じですか?

 

本記事では、私たちが日常手にしているティーカップの歴史についてお話します。

憧れの中国磁器

ティーカップ&ソーサーが、どこの国で生まれたか、ご存じでしょうか? 中国では古くから磁器(ポーセリン)の茶器が作られ、15世紀には広くヨーロッパに輸出されるように。日本でも16世紀には有田焼が作られていますが、ヨーロッパはまだまだ磁器製造に関しては、東洋に遅れをとっていました。

 

ぽってりとした陶器(ポタリー)は作られていましたが、真っ白な磁器の製法の秘密がどうしてもわからなかったのです。中国製の磁器は宝石のようにあがめられて、珍重されました。磁器のことを「チャイナ」と呼ぶのは、その頃の名残です。

ヨーロッパで最初に磁器を作ったのはどこか?

紅茶

それほど人気を得た磁器を自国でも作りたいと、当然ヨーロッパ諸国では考えます。他国に先駆けて磁器を作れば、莫大な利益を生むに違いありません。国益を賭けた大事業として、どの国も秘密裏に進めていたのです。

 

磁器製造の秘密を探り、研究を重ねてついにヨーロッパ諸国でも磁器が完成するのですが、ヨーロッパで最初に磁器を作ったのは英国ではなく、ドイツでした。ドイツでは皇帝が、莫大な費用をかけて、錬金術師を城に幽閉し、研究させたのです。その城のあった場所が、世界最高峰の磁器として名高い「マイセン」です。

磁器は錬金術で作られた?

錬金術師・ベトガーは、当時ヨーロッパに溢れるほどいたインチキな錬金術師の一人で、金を作ることが出来ると大ボラを吹いでいました。金製造を期待されますが、どう頑張っても何もないところから金を作り出すのは無理な話で、ベトガーはごまかすために、陶工に職替えをしていました。そこで今度は、磁器を作るよう命ぜられてしまうのです。

 

ドラマや映画なら、人生最大のピンチ!ですが、悪運強いベトガーは、何とか無事磁器の製法を解明し、1710年にはマイセンで磁器製造が開始されます。面白いことに、金を作り出すことが出来ないために、錬金術師を追われたベトガーが、白磁の秘密を発見したのは、皮肉にも錬金術師的な能力でした。陶器より高温で焼くことで、粘土の物質を変化させたのです。

 

そんなすごい発明をしたベトガーですが、秘密保持のために磁器発見後も幽閉され、結婚も許されなかったため、酒におぼれて37歳の若さで亡くなってしまいました。ヨーロッパの歴史に名を刻む功績を上げたというのに、お気の毒です。運が良かったのか悪かったのか・・・

シノワズリとティーボウル

こうして、ようやくヨーロッパでも磁器が作られるようになりました。その頃高価なお茶が交易によってもたらされ、王侯貴族を中心に、アフタヌーンティーの習慣が始まったのです。オリエンタルな中国風の絵付は人気を博して「シノワズリ」(中国趣味)ともてはやされました。

 

絵付けだけでなく、その形状も中国のものがそのまま持ち込まれます。最初に使用されたのは、現代の私たちが緑茶を飲むのと同じ、ハンドル(取っ手)のない「ティーボウル」と呼ばれる小さなお茶碗でした。ただ、湯のみに塗り物の茶托を組み合わせる日本式と違い、ティーボウルには、同じ柄を描いた深めのソーサーを組み合わせて使用。ちなみに、熱い紅茶をソーサーに移して飲むために、ティーボウルとソーサーには、同じだけのお茶を注ぐことができるそうです。

実用とフォーマルとの戦い

サロンでは優雅な貴婦人たちが、膝にティーボウルとソーサーを置いて会話を楽しんでいましたが、やはり「このティーボウルが熱いのは、どうにかならないか」という不満が聞かれるようになります。この願いは相当切実だったのでしょう。1710年のマイセンの磁器製造開始から40年後の1750年には、すでにハンドルのついたティーカップが作られるようになりました。

 

ティーカップが作られるようになってからも、ティーボウルこそがフォーマルと、頑なに使い続ける人もいましたが、紅茶の値段が下がり、広く飲まれるようになると、セミ・フォーマルな会を中心に、ティーカップは爆発的に広まって行ったのです。

ヨーロッパ独自のデザインへ

紅茶

ティーボウルにハンドルが付くのと前後して、絵付けにも変化が見られるようになります。それまでの中国風から脱却して、ヨーロッパに咲く花々や紋章・人物などを描いたロココ調のデザイン様式になっていくのです。

 

さらに、ドイツに遅れを取った英国では、さらに独自の路線を歩み始め、1774年には、炻器(ストーンウェア)の「ジャスパーウェア」を発売。美しい「ウェッジウッドブルー」の地にカメオのようなレリーフ装飾の古典主義的なスタイルは一世を風靡し、世界中で大ブームとなります。

 

また、磁器製造に必要な良質の白色粘土が入手困難だった英国では、陶土に牛の骨灰を混ぜたボーンチャイナの製造を始めます。真っ白から灰白色に近い磁器に比べて、乳白色で温かみのあるボーンチャイナは多くの愛好家を獲得。ロイヤルドルトン、ロイヤルウースター、ロイヤルクラウンダービーなど、「ロイヤル」を冠する多くの英国の陶磁器メーカーで、ボーンチャイナは作られています。

 

日本のノリタケでも1933年にボーンチャイナの製造に成功し、現在は同社の主力商品です。19世紀から戦前に作られた手の込んだ細工の施されたテーブルウェアは「オールドノリタケ」と呼ばれ、世界中のコレクターを魅了し続けています。

 

ヨーロッパで最初に磁器を作り上げたドイツのマイセンは、現在も世界最高級の地位に君臨。代表作の東洋的なブルーオニオンをはじめ、ピンクのバラの美しさでも、他社の追随を許しません。

 

紅茶種類
同じ茶葉なのに銘柄によって味が違うのはなぜ? 産地別に紅茶の種類をご紹介!
2018.8.21
紅茶、ウーロン茶、緑茶はすべて同じ茶葉から作られており、発酵の度合いによって色や香り、味が異なるということは、一般によく知られていますよね。では、たとえばアッサムやダージリンが同じ茶葉・同じ発酵度合いの紅茶であるにもかかわらず、銘柄によって風味や色に違いが生まれるのはなぜかをご存知でしょうか? こ...…
紅茶とお菓子
紅茶とお菓子のマリアージュ!おうちでカフェ気分が味わえるお茶菓子
2018.8.17
アールグレイやダージリンなど色々な種類の茶葉がある紅茶。朝ごはんのトーストのお供や、ホッと一息つきたい時など、様々なシーンで飲みたくなるドリンクですよね。 「おうちでカフェ気分を味わいたい」 「紅茶に合うお菓子と一緒に楽しみたい」 「ティータイムをもっと素敵なものにしたい」 このような人たちにお...…
関連キーワード
  • 横須賀の海
    【横須賀生まれの著者がすすめる】行かなきゃ損する横須賀のこだわりカフェ5選!
  • スターバックスのドリンクとマカロン
    いつもとは違う贅沢空間。スターバックスの「コンセプトストア」厳選7選!
  • 愛犬と吉祥寺で一緒にお出かけしたい人にオススメしたいカフェ7店
  • うちカフェドリンク簡単レシピ!「~するだけ。」激ウマ映えです♡
  • コーヒー
    おうちコーヒーの魅力。自分好みの味を探してみよう!
  • 「セントジョンズワートティー」 美味しい飲み方レシピ♪
    心を明るくする『セントジョンズワートティー』効能は? 美味しい飲み方レシピ

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事
カフェっ子リカちゃん
もうなんか。暑い。 昼間は暑すぎて家からでれなくて、16時すぎにやっと外でてみたけど。 やっぱり暑い。 こんな時はアイスコーヒーをテイ...