近年、スペシャルティコーヒー業界は、アジアで生産されているコーヒーに注目しています。中でも、中国産のコーヒーは、国内外問わず熱い視線を送られているようです。そこで本記事では、中国のスペシャルティコーヒーやコーヒーの歴史、産地や種類などについて詳しくご紹介します。

 

 

関連記事

>> スペシャルティコーヒー通販おすすめ10選!定義や豆の選び方も紹介

>>【世界の産地8選まとめ】コーヒー豆の種類と特徴とは?

>>【ジャコウネココーヒー:コピ・ルアク】味や特徴は?気になることについてまとめてみた

中国のコーヒー栽培の歴史

お茶のイメージが強い中国ですが、じつはコーヒーの栽培も行われています。中国におけるコーヒーの栽培は、どのようにしてはじまったのでしょうか? 

 

中国でのコーヒー栽培は歴史が浅い

1800年代の終わりごろ、フランスのキリスト教宣教師が、中国にコーヒーの苗を持ち込みました。中国でのお茶の歴史は紀元前2700年ごろにはじまったといわれていますが、コーヒー栽培の歴史は150年ほどです。

 

持ち込まれた苗は、中国の西南部に位置する雲南省に植えられます。雲南省は、全体的に亜熱帯高原季節風気候で、標高落差が激しい地域は山地気候となっているため、1日の寒暖差が大きく、フレーバーの質に優れたコーヒー豆の栽培が可能です。

 

ところが、初めて中国・雲南省にコーヒーがもたらされてから100年ほどの間、コーヒーの生産はほとんど注目されることはありませんでした。その後、1988年になってようやく、中国政府がコーヒー生産に力を入れはじめます。1990年代に入ると、中国のコーヒー生産はネスレやスターバックスなどの大企業の支援を受けるようになり、生産量は急増しました。

 

とはいえ、現在中国でのコーヒーの栽培面積は、わずか12万ヘクタールほど。12万ヘクタールといえば、埼玉県全体の森の広さとほぼ同じ(県土の約3分の1を占める)です。お茶の栽培面積が300万ヘクタール以上であることを考えると、中国でのコーヒーの栽培規模はまだまだ小さいといえるでしょう。

 

中国にコーヒー文化が根付かなかった理由

いまでこそ中国のコーヒーブームは白熱していますが、十数年前までは、中国にコーヒー文化は根付かないであろうと考えられていました。そもそも中国では、太古の昔からお茶文化が根付いており、二千種類から、細かく分類すると数万種類もあるとされるバラエティ豊富な中国茶を好んで飲む人のほうが多かったようです

 

お茶を飲む伝統のほか、コーヒーの販売価格も、これまで中国にコーヒー文化が根付かなかった理由だといわれています。お茶の種類にもよりますが、中国ではお茶に比べると、コーヒーの販売価格は高額です。

 

多くの国で店舗展開をしているスターバックスは、1999年に北京の中国世界貿易センターに一号店を出店し、中国市場に参入します。富裕層が増加しているとはいえ、日本円にして一杯600円以上もするスターバックスのコーヒーは、平均的な月収を得ている中国の人々にとって贅沢品以外のなにものでもありませんでした。

 

そんな「あってなきがごとし」中国のコーヒー文化に異変が起きたのは、ミレニアル世代がコーヒーにステータスを求めるようになってからのことです。

中国で栽培されているコーヒーの種類と特徴 

中国でのコーヒー需要を開拓したミレニアル世代ですが、中国のスペシャルティコーヒーの発展も彼らによって牽引されました。ここでは、中国産のコーヒーの種類と特徴についてご紹介します。

中国のコーヒーはアラビカ種が多い

意外に思えるかもしれませんが、中国で栽培されているコーヒーのほとんどはアラビカ種です。これは、コーヒー生産の95%が雲南省で行われており、この地で栽培されているのがアラビカ種のコーヒーだからにほかなりません。アラビカ種のほかにも、中国南部に位置する海南島と中国南東部に位置する福建省では、ロブスタ種が栽培されています。

 

中国全体では、細分化して約30種類の品種が栽培されていますが、収穫量が多く、病気にも強い、カトゥーラとティモール・ハイブリッドの交配種であるカティモールが人気です。ただし、ロブスタ種の遺伝子を受け継いでいるためか、ほかのアラビカ種に比べると風味が落ち、それほど品質が高いとはいえません。

 

しかしながら、カティモールでも適切な気候と生産者の努力ですばらしいコーヒーが生産できることがわかっており、中国のスペシャルティコーヒー生産者は、高品質のコーヒーを生産しようと試行錯誤しています。 

中国・雲南省のスペシャルティコーヒーの味は? 

スペシャルティコーヒー業界への中国の参入はごく最近のことですが、そのほとんどが雲南省で生産されています。カティモールの栽培が盛んとはいえ、雲南省のコーヒーの味は、品種、標高、精製方法によって大きく異なります。

 

中国のスペシャルティコーヒーの生産者たちは、カティモールをウォッシュド加工(水洗式)することで、果実のような香りと甘みを持つコーヒーに仕上げています。ウォッシュドプロセスを施された雲南省のスペシャルティコーヒーは、中南米のコーヒーによく似た味わいです。また、ウォッシュド以外にも、ナチュラルやハニープロセスといった精製方法も試されており、プラムやベリーのジャムのようなコクがある、リッチな風味のコーヒーも生産されています。

 

雲南省のスペシャルティコーヒーの収穫は、通常12月から3月にかけて行われ、ほとんどが手摘みです。雲南省には雨季と乾季があり、通常5月から10月までが雨季とされ、7月から9月にかけてもっとも雨量が多くなります。雨季の間は湿度が高くなるため、手摘みされたコーヒーチェリーは5月に入るまでに輸出の拠点となる雲南省の省都・昆明市に集められ、中間業者に販売されます。

 

ただし、精製設備を備えているコーヒー農家は、自ら加工してスペシャルティコーヒーを生産・販売するコーヒー農園として、ブランド価値を高めています。

中国産コーヒーの未来は明るい 

中国でスペシャルティコーヒーが注目される以前は、トレーサビリティなど気にかけず、収穫・販売が行われてきました。しかし近年、本当においしいコーヒーを求める人が増えたことにより、多くのコーヒー農家がスペシャルティコーヒーの生産に力を入れ、有機認証を取得する農園も増加しています。スペシャルティコーヒー業界では新参者の中国ですが、どんなに優れた「メイド・イン・チャイナ」のコーヒーが生まれるか、これからの動向に注目したいですね。

 

参照サイト:

https://www.horshamcoffeeroaster.co.uk/

https://www.origincoffee.co.uk/

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう