いつも自然と私たちの生活の中に溶け込んでいるコーヒー。でも、「コーヒー豆って、生の豆を焙煎しているのは知っているけど、それ以外の作り方や製造過程や方法はわからない!」という人が多いのではないでしょうか。
実はコーヒーは、たくさんの人々の手により様々な工程を経て生産されます。今回は、意外と知らない、コーヒーの豆が飲めるようになるまでを解説します。
【栽培・収穫・精製・焙煎】たった1杯のコーヒーができるまでの物語
【コーヒーが飲めるようになるまで】コーヒーの実、ホントは真っ赤?
コーヒー豆は、コーヒーノキという植物の種子からできています。黒や茶色のイメージがありますが、実はコーヒーの果実は熟すと赤や黄色で、サクランボに似た外見から「コーヒーチェリー」などと呼ばれます。ほとんどの場合、コーヒーチェリーの中に2つの種子が入っており、これを加工することによってコーヒー豆を作っていくのです。
収穫〜果実の除去
収穫されたコーヒーチェリーは、水洗処理や天日干しするなどして果実部分を落とし、種子のみの状態に加工します。この処理の方法によって、出来上がった際のコーヒーの味わいは異なるとされ、水洗処理したものは「ウォッシュド」、天日干ししたものは「ナチュラル」と呼ばれます。このほかにも、皮のみ除去して発酵させる「セミウォッシュド」など様々な手法があります。
乾燥〜コーヒー生豆への加工
水洗処理を行った豆は乾燥工程に入ります。乾燥工程は、乾燥機で行う手法と天日干しが一般的です。
乾燥機を使用した場合、生産効率は高いものの、熱が加わることによって品質の低下を招くとされています。
天日干しの方法には地域差があり、中南米ではコンクリートやブルーシートに豆を広げて攪拌しながら乾燥を行いますが、アフリカでは麻などを敷いた乾燥用のテーブルの上に豆を広げて乾燥させる方式が多いそうです。
乾燥を終えたコーヒー豆は、成分を安定させるための休息期間(レスティング)の後、脱穀を行って初めて生豆として扱われますが、ここで豆の選別作業が入ります。石などの異物や欠点豆(欠けていたり、発酵しすぎて製品とならない豆)を取り除くのですが、高額な機械を購入できない小規模農園では、全て手作業で行われます。これをハンドピックと言います。
また豆のサイズや重さで品質の選定を行うこともあります。
出荷〜焙煎へ
選別作業が完了すると、麻袋に詰められていよいよ出荷となります。単価の低いコーヒー生豆はそのほとんどが船で輸送されます。コーヒー生産国の多くは高温多湿な気候であることが多く、コンテナ内部の気温は40度を超えることも多いため、品質の低下が懸念されています。
港に到着したコーヒー豆は倉庫にて保管された後、それぞれの焙煎所へと運ばれて焙煎されます。焙煎前のコーヒー豆は緑色をしていて、コーヒーの香ばしさや香りはまだありません。
焙煎によって熱を加えられ、アミノ酸や糖類が化学反応を起こすことで茶色ががった色味に変化し、苦味や甘み、香りが出てきます。焙煎度合によってコーヒーの味は大きく変わるため、ここが焙煎士の腕の見せ所。フレッシュな香りを演出したり、香ばしく甘いコーヒーを表現したりと個性が強く出ます。
様々な工程を経たコーヒー豆は、焙煎後にやっと美味しいコーヒーとして飲めるようになるのです。
【栽培・収穫・精製・焙煎】たった1杯のコーヒーができるまでの物語
コーヒー豆の生産工程まとめ
このようにたくさんの工程で、たくさんの人々の手によってコーヒーは生産されています。
どんな作られ方をしているかを知ることによって、今までなんとなく飲んでいたコーヒーがもっと大事に、美味しく感じることができる気がしますよね。
皆さんも、次にコーヒーを飲むときは暖かな農場の風景に思いを馳せてみてはいかが?