今や私たちの生活になくてはならない存在になっているコーヒー。実は、コーヒーが飲めるようになるまでにはたくさんの工程があり、たくさんの人が関わっているということを、知っていましたか?
木の栽培、果実の収穫から始まり、「ウォッシュド」「ナチュラル」と呼ばれる精製、選別・焙煎など、様々な工程を経て私たちのもとに届きます。
今回は、そんな工程を経てできる、たった1杯のコーヒーのストーリーを追ってみます。
コーヒーの栽培・収穫と精製 ~生豆ができるまで~
まずコーヒー豆は、「コーヒーノキ」という植物の実から作られます。このコーヒーノキは、「コーヒーベルト」と呼ばれる熱帯または亜熱帯地域で栽培され、コーヒーノキが発芽してから3~5年後、小さな白い花を咲かせたのち、真っ赤な(黄色い品種もある)果実が実ります。この果実はサクランボが小さくなったような見た目から「コーヒーチェーリー」と呼ばれ、十分に熟したらいよいよ収穫です。
収穫されたコーヒーチェリーは、水洗いされたり、天日干しされたりして種の部分のみが取り出されます。この工程は「ウォッシュド」とか「ナチュラル」といった精製方法によって区別され、のちのコーヒーの風味に大きな影響を与えます。
種が取り出された後は、選別が行われます。選別方法は国や農園によって異なりますが、サイズや重さが一般的で、ここで小石などの異物も取り除かれます。決められた重さの中に幾つの欠点豆(よくない豆)が含まれているかによって豆のグレードを決める国もあるそうです。
これでやっと、コーヒーの生豆は完成です。
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長旅を経て来日、焙煎工程を経てコーヒーへ
出来上がった生豆は、麻の袋やアルミバッグに詰め込まれ、多くは船便によって日本まで運ばれます。熱帯の国から出発するこの船便のコンテナ内部は超高温&多湿になるそうで、コーヒー豆の劣化を促進してしまいます。そのため近年では「リーファーコンテナ」という温度調整が可能なコンテナを使用する業者も増えてきました。が、それは一部の高級なコーヒーのみ。ほとんどのコーヒー豆は厳しい暑さと湿気を乗り越え、船に揺られて日本へやってきます。
港へ到着した生豆は各種検査や通関を受け、輸入業者によって荷揚げ。倉庫から各地へと移送され、卸業者を経てやっと焙煎工程へ。
コーヒーの生豆は加熱されることによって苦味や香りが作られますが、この工程を焙煎と呼びます。一般的に焙煎度合いの弱いものは浅煎り、強いものは深煎りと呼ばれ、それぞれ酸味が感じやすかったり、苦味が豊かになったりと風味の出方がまったく異なります。豆の味をどのような方向性で表現するのかは、焙煎士の腕の見せ所。自家焙煎コーヒーショップの個性が強く出る工程かもしれません。
焙煎が終了すると「コーヒー豆」は完成です。小売点やコーヒーショップへと運ばれて、いよいよコーヒーとして抽出されるのです。
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1杯のコーヒーができるまで 〜まとめ〜
コーヒーはいまや、ワンコインでどこでも飲めるものです。しかし、もともとは熱帯地域の人々に大事に育てられた農作物。これをたくさんの人が大事に運び、加工することで美味しく飲むことができる努力の一滴なのでした。
こんなストーリーを知っているだけで、毎日のコーヒーがいつもよりちょっと美味しく感じるはず。たまには熱帯の大地を想像しながら楽しんでみてはいかが?