忘年会シーズンもそろそろ佳境。この前の週末は、今年最後の忘年会だったの。
やっぱり 12月は、あっという間に過ぎていくわね。この前の忘年会のメンバーは、前の職場同士での集まりだったの。当時の職場は、女子6人っていう小さな部署だったんだけど、女性同士特有のいざこざはほぼ皆無の健康的な職場だった。
実は数年前にその会社はなくなっちゃってね、みんな今は別々の場所で働いているんだけど、久しぶりに集まるとやっぱりいいものよね。その日集まったお店は、アルコールの種類が豊富な上に、コーヒーの種類が10種類以上もあるお店。アルコールもこだわりのコーヒーも飲み放題なの。
女性同士だけで二次会に行く場合って、カフェに行く事が結構よくあるから、そのお店は「二次会まで1店舗で楽しめるお店」っていうコンセプトらしく使い勝手は最高。普通にカフェとしても使えるから、今度一人で作業する時にでも使ってみようかしら。
みんなで集まったその日はね、互いの近況を話したり、一緒に働いていた時の失敗談で笑い泣きしたりしていたの。ひとしきりみんな話し終わって、お店こだわりのコーヒーで「二次会的」まったり時間に入った時、1人の元同僚が「実は、私……同性婚するかも」と、いきなりの衝撃告白。
あまりに唐突の告白に、隣の同期はコーヒーを吹き出してたわ!
というのもね、彼女は男も女もどっちも恋愛対象になるバイセクシャルなの。
そのこと自体はみんな知っていたし、なんの偏見もないんだけど、驚いたのはそこじゃなくて、この子、今年の夏までたしか男性と婚約していたの。それこそその時は、「彼との将来、ちゃんと考えて婚約したよ。世間的には、やっぱり男性と結婚するのがまだまだ常識だしね」って言ってたはずだったんだけど……。
「私はやっぱり、一般常識だけでは自分の人生を決められなかった」ってのが彼女の言葉。
よくよく聞いてみるとね……。
実は、今同性婚をしようとしている彼女との付き合い自体はもう10年以上みたい。そして元同僚が付き合った1番最初の彼女だったみたいなの。付き合ったり別れたりを繰り返しながら、お互いに他の誰かとも付き合っていたんだそう。
元同僚の方は、つい最近まで付き合っていた彼氏がいながらも、どうしても彼女のことが忘れなかったそう。「彼氏は優しいしなんの不満もない。だったら、彼との将来を考えたほうが私はきっと幸せになれる……。」そう気持ちを切り替えていたみたい。
でもついこの前、元同僚が表参道で買い物をしていた時、本当に偶然その彼女に会ってしまったそうなの。でも、久しぶりに会えた彼女の横には背の高いイケメンが。直感で「この人、彼氏だ」と感じた元同僚は、自分でも驚くほど「とられたくない!!」って思ってしまったんですって。
その時、元同僚はなんだかんだ言いながら、彼女のことがいまだに大好きだった自分に気付いてしまったそうなの。
猪突猛進という言葉がここまで似合う人はいないんじゃないかと思うほど、「思い立ったが吉日」な元同僚。その日のうちに婚約相手である彼氏には別れを告げたそう。「彼のことを心から好きじゃない人と結婚するのは、彼の人生を台無しにしてしまう」とも思ったらしいの。
その後彼女に連絡をし「やっぱりあなたが好きみたい。もしあなたも同じ気持ちなら、今付き合ってる人じゃなくて私と付き合ってほしい。そしてあわよくば、一生一緒にいてほしい。友達としてじゃなくて、恋人として」って告白をしたんだとか。
そして、彼女からの答えは、なんと「YES」。彼女も彼女で、ずっと元同僚のことが忘れなかったそう。表参道で再会した時、「運命だ」って思ったんですって!!
見事、両想いで落ち着く所に落ち着いた2人は、来年中には同棲を始め、親にも紹介しようという話まですすんでいるみたい。
偏見の目で見られることや差別されることが増えることはもちろん互いに承知の上。その上で、彼女が言った言葉はやっぱり心に刺さった。
「同姓カップルのつらさを知っているから、やっぱりちょっと、不安だけどね。これが正解かどうかは、わからない」
私、思うのよね。
「あなた」は、「あなた」のままでいい。
それが正解だったかどうかなんて、ずっと後になってからわかること。一生懸命考えた上であなたが決めたことだから、責任を全うすればそれでいいと思うのよね。
「そのままのあなた」を心から愛してくれる存在が、あなたにはもういるんだから。
つらさを知っているからこそ、やっぱりこわいのも分かる。でも、あなたと彼女が感じた「この人しかいない」っていう直感は、そのまま突き進んでもいいなにかを秘めている気がしたの。
「好きになった相手が同姓でも異性でも、たいした問題じゃない」
そんな風潮に、日本もいつかなりますように。くだらない偏見で誰かが傷つく回数が、今よりどうか減りますように。
年甲斐もなく昔みたいにみんなで肩を組んで、彼女たちを精一杯応援しようって約束した女だらけの夜は、そうやって更けていったの。

