始まる恋もあれば、終わる恋もある。
今日は、私の友達の話を聞いてちょうだい。
久しぶりに会った彼女は、ずいぶんやせ細っていた。
何事にも一生懸命で、やりたい事に貪欲で、行きたい場所には必ず行って、いつ会ったって、私がドキドキするような話を聞かせてくれた。
今、私の目の前にいる彼女は、やせ細って、本来のぱっちり二重は、何事かと思うほど、殴られたかのように腫れている。
アイスコーヒーのストローを持つ手の指先は、まさか。彼女に限って・・・・・・、ネイルがはげかけている。
つまりは、
一つの恋が終わったのだ。
彼とは私も友人だった。
映像制作会社の代表で、仕事はキレッキレなんだけど。彼の持つ雰囲気は、最高にふわふわなの。柔らかくて、真っ白で、なにもかもを包み込む。
私はそんな二人が、大好きだった。笑いあう二人、冗談言いあう二人、喧嘩し合う二人。何もかもが、ニコイチだったのに。
付き合って3年、一緒に暮らして4年。7年の歳月は、二人に何を残すのかしら。
二人のことは、やっぱり二人にしか分からないから。
私はその日、彼女の横に、ただただいることにしたの。何も聞かずにね。
いつもは気丈でプラス思考な彼女からは想像がつかないほどの今の姿。
生気は、ゼロ。化粧っ気、ゼロ。一言、言葉にする度に、零れ落ちる涙。
げっそり痩せた頬。いくら飲んでも、酔えないという彼女。
私は、彼女は人と別れてもこんなになる人とは思ってなかったの。
気丈に、
「まぁ。そういうこともあるわよ。」
って言える人だと思ってたの。例え家では一人で泣いても、ね。
でも私、思うのよね。
嘘の気丈さで振る舞うことが出来るよりも、こうやって地団駄踏んでる彼女の方が、よっぽどよっぽど、いい女。
自分の弱い部分を、こんなにも無防備に見せることが出来る。
「彼と別れたことが辛くてしょうがない」
って、目が腫れることなんかおかまいなしに泣ける。
そんな彼女は、やっぱり、とてつもなくかっこよくて、どうしようもなく、可愛らしい。
無様で格好悪い姿をさらけだして、思いっきりその悲しみと対峙すればいい。
彼女は今、思い出と、今の辛さと戦っているの。もう全力でね。
大好きだった人と別れたんだもの。辛くないわけがない。
泣いて、泣いて、泣いて、泣いて。思う存分泣けばいいの。
これは、この前書いた「女の武器」で使いがちな涙では決してない。
誰の為でもなく、自分の為に泣いてるんだもの。
そんな、一つの恋の、終わらせ方。
悲しむときに思いっきり悲しめる私の友達は、絶対に大丈夫。
今よりもっと、幸せになれるに違いないんだから。
今もし、一つの恋が終わって。
辛くて悲しくてどうしようもないのに、全然そんなことないって、自分のこと自身もだましているあなたがいるなら。
まず一番最初に出来る事。
中途半端に「終わったんだ」って、痛みや傷を見ないふりするよりも。
おもいっきり向き合って、向き合って、そんな格好悪い自分をも受け入れる。
そんな風に、自分に正直になってみるのも、いいんじゃないのかしら。

