外で過ごすのが気持ちいい季節になってきたわね。
この前の日曜、家にいるのがもったいなくなって、近くのお気に入りのカフェに行ってきたの。芝生が広がる公園の敷地内にあるそのお店は、電源もwifiも完備な上にコーヒーも本格的。居心地最高で、行くとついつい長居しちゃうのよね。
その日もパソコンと本を持ってお散歩がてら行ったんだけど、隣りに座った男同士の会話があまりにも微妙すぎた。話を聞いていると、どうやら二人はシステムエンジニア同士らしいんだけど、それを鼻にかけた話ばかり。そして、自分の知っていること(主にシステムについて)は付き合っている、彼女も知っていて当然という思想の持ち主。
2人の会話はこう。
男A「俺さ、今WEBページを手掛けてるんだけど、結構それが大がかりでさ。なかなかストレスたまっちゃって、この前彼女に会ったとき、いろいろと話を聞いてもらったんだよね。彼女もうんうんって聞いてくれてすごく癒されてたんだけどさ、最後とんでもないこと言いだしたわけよ」
男B「聞いてくれるなんて優しいじゃん。それだけでも幸せだよな。で、なんて言い出したの?」
男A「それがさぁ……「スクリプト」ってなに? て聞いてきたの。まじウケるでしょ。てか、なんにもわかんないまま俺の話聞いてたの? って思って、逆にひいたよね」
男B「はー。今時「スクリプト」も知らない人間いるんだな。人生なに勉強してきたんだか、誰も教えてくれなかったんかね」
男A「でしょ? や、彼女は別にSEでもなんでもないんだけどさ、今どき普通にOLだって会社で使うだろうに、ここまで常識ないとは正直思わなかったわ~。視野狭すぎね? 付き合うのちょっと考えるレベルだよな」
男B「ほんとだな。やめとけば?」
……彼女の代わりに言ってやりたい!!
「こっちから願い下げです」と。
ちなみに「スクリプト(script)というのは、コンピュータプログラムの種類の一つ。機械語への変換やファイルの作成などの過程を省略・自動化し、ソースコードを記述したら即座に実行できるようなプログラムのことを言うんだけど。
この2人、世の中の誰もが知っていると思ってるらしい。知らないと思うわよ。むしろ知らない方の方が多いんじゃないかしら。そして、知らなくても「常識ない」とはならないジャンルのことだと思う。
SEやプログラマーにとっては基礎中の基礎かもしれないけど、誰もが知ってると思っているその考えが常識外れ。どれだけ狭い世界の中で生きてきてるんだとこっちが言いたい。
この2人は、「自分が知っていることは当然誰しもが知っていて、それを知らない人は常識外れ」という価値観みたいだけど……。
私、思うのよね。
その価値観、強要するのはやめてくれない?
同じ価値観同士で盛り上がるのはお好きにどうぞって感じだけど、自分が知っていることを相手が知らないことだけで「常識はずれ」と思うのはちょっと違うんじゃないかしら。狭い世界で生きているのは、むしろあなた達なのでは? って思っちゃう。
世の中には色んなジャンルの仕事があって、もちろん専門用語もそれぞれある。
「スクリプト」って、どう考えても専門用語のひとつじゃない? あなたたちの専門用語と同じように、あなたが知らないジャンルの専門用語だっていくらだってあるはずよ。立場が逆になった時のことすら想像できないみたいね。
例えばこれが「スクリプト」じゃなくて、「お酒を飲むのが許されるのは20歳から」っていう常識レベルならまだ分かる。でもそれだって、笑い話になるくらいでそこまでバカにするほどのことでも、たぶんない。優越感に浸るのが大好きそうなこの2人こそ、もう少し世間をひろーく見た方がよさそうね。
優しい彼女にあなたがフラれるその前に、少しでもその事実に気づけばいいけどね。(たぶん無理でしょうね)
自分の知ってることが全てじゃない。相手が知っていても知らなくても大したことではないはずよ。シンプルだけど、常にそのことは念頭においてお付き合いをしていきたいものよね。





